2018 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Sherman Lee: Collecting Asian Art in America
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18K12265
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
五十嵐 潤美 岡山大学, 全学教育・学生支援機構, 講師 (90711622)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シャーマン・リー / アジア美術コレクション / アーナンダ・クーマラスワミ / アメリカの美術館 / 占領軍 / GHQ/SCAP RECORDS |
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカのアジア美術コレクション史においてシャーマン・リーが果たした役割を分析するため、アメリカおよび日本のアーカイブにて資料の発掘を行った。まずアメリカ、ワシントンDCにあるアメリカ美術アーカイブに保管されているシャーマン・リー・ペーパーを調査し必要資料を撮影した。第二次大戦前、大戦中、大戦直後の資料は含まれていないため、リーの初期のアジア美術観を検証する資料はなかったが、シアトル美術館時代およびクリーブランド美術館時代のリーの思想を示す書簡などを収集することができた。これらの資料には米国内でいかにアジア美術を一般観衆に見せていくか苦心する様がよくわかる資料が含まれている。 続いてメリーランド大学カレッジパーク校の図書館に保管されているプランゲ文庫にて、占領軍の文化活動に関する資料を閲覧することができた。直接リーに関する資料はなかったが、この重要な資料を管理している同大学の研究者の知己を得たことは収穫であった。 最後に日本の国立国会図書館に保管されているGHQ/SCAP文書を調査した。ここではリーが占領軍に所属していた時期の資料や書簡を大量に調査することができた。その中には、リーの日々の業務と日本美術への関わり方が具体的に分かる資料も多数含まれていた。占領軍時代のリーの活動がいかに彼の前世代と異なっているかを明らかにする貴重な資料である。 加えて、リーの前世代となるアジア美術専門家クーマラスワミとタゴールらの芸術活動を調べる中で、インドに渡ってタゴール家と関わった日本人画家勝田蕉琴についての資料の分析をする機会を得た。予定外であったが、その結果を論文にまとめ、国際会議で発表できたことは、同時代のアジア美術関係者の動向を多角的に理解するのに役立つものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査予定のアーカイブの調査が順調に進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
収集した資料の整理と分析をしながら、更に新たな資料の発掘のためアーカイブ調査を進める。2年目はアメリカのLibrary of Congressと、リーが戦前に勤務していたDetroit Institute of Art、また引き続き日本の国会図書館で資料収集する。同時にシャーマン・リーの関係者にも連絡を取り、資料発見への協力を仰ぎたい。
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Causes of Carryover |
購入予定だったキャビネットは、退職した同僚から同仕様のものを譲り受けることができた。またカメラなどの機材も同僚から借り受けることができた。そのため、物品購入費を無駄なく使用でき、次年度使用が生じた。この予算は資料の保存や分析のための環境整備、ならびに調査旅行の期間延長などに使用する。また、予定していた資料整理のための人件費は、次年度以降の資料収集後に複数年分の資料をまとめて整理する方が効率的であると判断したため、次年度以降に支出予定である。
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Research Products
(1 results)