2018 Fiscal Year Research-status Report
The image of the Uranian Venus and its (trans-)formation in nineteenth century British Literature
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18K12326
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
木谷 厳 帝京大学, 教育学部, 准教授 (30639571)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | P・B・シェリー / ロマン主義 / 天上のヴィーナス / モダニティ / 英詩 / ヴィクトリア朝 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、まず前年度末に発表した単著論文「聖愛と俗愛のあわい――シェリーのジェイン詩篇にみられる天上のヴィーナスと知性的エロティシズム」(『イギリス・ロマン派研究』42号、29-43頁)での研究成果を基礎としてスタートした。この論文ではロマン派詩人P・B・シェリーの描く天上のヴィーナス(聖愛のシンボル)のイメージを通じた観念的エロスあるいは知性的エロティシズムの概念が、のちにE・A・ポー、D・G・ロセッティらに受け継がれることになったというところまで論じた。したがって、ロマン派以降、とくにヴィクトリア朝初期から第一次世界大戦期までに、天上のヴィーナスのイメージ表象がどのような変遷を辿ったのかを探る資料収集から研究を開始した。 また、本計画の理論的基盤の一部を構成する「ロマン主義のモダニティ」の概念に関する研究も本格的に開始した。2018年度においては、シェリーをはじめとするロマン主義の詩における現代性(モダニティ)に対する意識と、天上のヴィーナスの表象や知性的エロティシズムの概念をどのように関連づけることが可能かという点を研究するための基礎構築を進めた。この研究成果の一環として、「ShelleyとOwenをつなぐモダニティ――死のエクフラシスと断片化」(シンポジウム『100 年目の Wilfred Owen』、日本英文学会第90回大会、2018年5月19日)を発表することができた。この発表では、いわゆる文学史的な解説のようにロマン主義とモダニズムを対局に置くのではなく、ロマン主義をモダニズムの源流とみなし、ロマン主義とモダニズムを架橋するポストロマン主義という軸とともにモダニティの問題を考えたアメリカの文学理論家ポール・ド・マンによる著書および論文を参考にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、前述の研究計画をスムーズに実行するために行うべき研究調査の筋道を立てることが主眼に置かれた。そのため年度内に研究論文を発表することはできなかったが、少なくとも研究発表を1回行うことができたので、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、上述したふたつの大きな問題系について引き続き研究を進めたい。
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Causes of Carryover |
購入した物品のうち、当初の見積から変更して購入したものが含まれていたため。
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Research Products
(1 results)