2022 Fiscal Year Research-status Report
1960-80年代仏・英語圏の写真キュレイターをめぐる比較文学、比較芸術研究
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18K12353
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
佐々木 悠介 東洋大学, 国際学部, 准教授 (20750730)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 女性写真家 / キュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度も、【現在までの進捗状況】で詳しく述べるとおり、依然として新型コロナウィルス流行の影響を大きく受けた。勤務先の大学でも少しずつ海外出張が認められるようになったが、渡航によって新型コロナウィルスに感染した場合の学務への支障を考慮すると、今年度は強行することができないと判断した。またこれに加えて、ウクライナ戦争の影響による、ヨーロッパへの飛行時間の大幅な増加、燃料費高騰による渡航コストの上昇もネックとなった。 本研究課題は新型コロナウィルス流行の前に開始したものであり、海外での資料調査の実施可否やそのコストについては、コロナ前の状況に基づいている。いっぽうで、2019年度を最後に資料調査のための出張を行えない状況が続いており、出張日程の確保や必要となる経費が、2022年度の現状と合わなくなってしまっている。 そこで、2020年度から順延している資料調査を2023年度に(研究課題の期間を再延長することを前提に)行うため、その予算を繰り越すことを念頭に置いて、今年度の執行額をきわめて低く抑えつつ、一部の資料収集を行った。 最大の収穫は、アメリカの女性写真家、映画作家であるルース・オーキン(1921-1985)の生誕100年を記念して刊行された大掛かりなカタログを入手したことである。オーキンはフリーランスであったとは言え、1940年代からプロのフォトジャーナリストとして活動していた。オーキン再評価の動向は、本研究課題でも重要なものと位置づけているアマチュア写真家、ヴィヴィアン・マイヤーの発掘とそれにともなう神話生成とも関わるものであり、あらためてマイヤーを同時代の女性写真家をめぐる言説との関連において捉え直す必要性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度も新型コロナウィルス流行の影響を受け、資料調査のための海外渡航を自粛せざるを得ない状況にあった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍特例による課題期間の延長(F-14-CVによる)をお認めいただいているので、2023年度も引き続き本研究課題の従事したい。 本研究課題の計画時とは為替の状況や日米の物価格差、海外渡航費用も大きく異なるが、シカゴ大学およびシカゴ歴史博物館へのヴィヴィアン・マイヤー関連資料調査を行い、現在のマイヤーを巡るキュレーションの状況(これは2020年度に主に成果があった)だけでなく、マイヤーが実際にストリートで写真を撮影していた時期にアマチュア写真、女性写真家に関するどのような言説が共有されていたのか、それがマイヤーの写真にどう影響しているのかというところも明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
本研究課題を遂行するためには、コロナ禍で順延している海外での資料調査をなんとか実施したく、昨今高騰している渡航運賃等も考慮の上、その分の費用を確保するよう心がけた。 23年度にはぜひ実施したい。
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