2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12535
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
左近 幸村 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (30609011)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ロシア史 / 海事史 / グローバルヒストリー / 帝国論 |
Outline of Annual Research Achievements |
6月30日から7月4日にかけてポルトガルのポルトで開催予定だった国際海域史学会(IMHA)と、8月4日から9日にかけてカナダのモントリオールで開催予定だった国際ロシア東欧学会(ICCEES)に出席し、ロシア帝国とスエズ運河の関係について報告する予定だったが、コロナ禍のためいずれも翌年に延期になった(最終的に、IMHAはさらに1年延期、ICCEESは、2021年8月にオンラインで開催となった)。そのため、学会報告の機会がなかったが、その代わり、著作の刊行に力を注ぐことができた。9月には恒木健太郎氏(専修大学)との共編著により、計13名の執筆者からなる『歴史学の縁取り方:フレームワークの史学史』を東京大学出版会から刊行し、第1章「戦後日本の経済史学」のグローバルヒストリーを論じた部分を担当した。同論集については、3月に2週にわたって、京都大学の史学系の院生たちを中心とする研究会において、書評会が開催された。さらに11月には、これまでの研究成果をまとめた単著『海のロシア史:ユーラシア帝国の海運と世界経済』を名古屋大学出版会から刊行した。これは世界的に見ても珍しい、海域から見たロシア帝国論であり、ロシア史や経済史、国際関係史などの分野で、議論を呼ぶことが期待される。早速2月には、日露関係史研究会で書評会が開催された。年度末には、グローバルヒストリーの関連で、ディビッド・ウルフ「大豆」(桃木至朗・中島秀人『ものがつなぐ世界史』ミネルヴァ書房所収)の翻訳も出た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2回予定していた海外での学会報告は、コロナ禍のため中止になってしまった。だが、その準備のための時間を本の刊行に充てることができ、共編著1、単著1、論文翻訳1という成果を出すことができた。国際学会での報告ができなかったとはいえ、コロナ禍の中で大きな刊行物を複数出せたことから「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
『海のロシア史』に関しては、昨年度のうちに書評会が開かれたが、今年度も複数の書評会や研究会の開催が決まっている。ここで出された疑問や批判をもとに、今後の研究の方向性を決めていきたい。また、昨年度モントリオールで開催予定だったが、コロナ禍のため延期になった国際ロシア東欧学会(ICCEES)が、今年8月にオンラインで開催予定なので、そこで「Beyond the Suez Canal: Russian ships in Asia in the late nineteenth and early twentieth centuries」というタイトルで報告し、本の成果の一部を国際的に問う予定である。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍により、発表を予定していたポルトガルとカナダでの国際学会が両方とも翌年に延期となり、そのための旅費を繰り越したため。
|
Research Products
(3 results)