2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K12564
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
佐々木 淑美 東京福祉大学, 留学生教育センター, 特任講師 (60637883)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 煉瓦造窯 / 現場保存 / 公開・活用 / 煉瓦造建造物 / 保存環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度に引き続き、常滑市に所在する煉瓦造窯2件の調査を6月、9月、1月に実施し、年間を通じた変化をモニタリングすることができた。特に、INAXライブミュージアムの煉瓦造窯については、前年度までに実施した調査の結果と今年度得られた調査の結果とを比較し、修復後に空調が変更されたことによる保存環境の変化とその効果を検討していく予定である。 今年度は比較調査の準備・実施が主たる計画であり、計画書内で予定していた比較調査対象地のうち5か所(旧神崎煉瓦ホフマン式輪窯(京都府)、喜多方三津谷の登り窯(福島県)、旧小野田セメント製造会社竪窯(山口県)、竹原ホフマン輪窯煙突部(広島県)、陶栄窯(愛知県))の調査を実施した。特に、旧神崎煉瓦ホフマン式輪窯(京都府)は初年度に調査した旧下野煉瓦と旧日本煉瓦の窯と同型かつ日本に現存するホフマン式輪窯として貴重な事例であるだけでなく、他2件の窯と異なり民間で現場保存し、管理・公開している点で、本研究主題である保存・公開の検討にとって重要な事例である。また、喜多方三津谷の登り窯(福島県)は、現在まで操業されている珍しい窯である。これら2件の窯については、次年度も継続して調査を実施する予定である。 このほかに、煉瓦造建造物の関連調査も、舞鶴および喜多方、北九州、広島、京都で実施した。 計画通り本年度は、煉瓦造窯や煉瓦造建造物の調査を多数実施し、比較検討するための基礎的情報や資料を収集することができた。これにより、次年度の調査対象の検討が進んだだけでなく、各窯が有する課題を抽出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した対象での調査を順次実施できている。また、調査の際に収集した資料から新たな調査対象も発見できたことで、当初の予定よりも調査対象が増え、比較検討に有意な調査結果を得ることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き調査の充実を図り、保存・活用状況の評価・比較を進めカタログ化し、最終年度に成果を公表(論文、学会発表、報告書等)できるよう研究を深化させる。 ただし、2020年3月から感染症の影響で現地調査が難しい状況になっており、予定していた調査を中止(延期)している。現場調査が難しい間は、これまでに収集した資料の精査とデータの整理・分析、新たな調査対象の探索、これまでの研究成果の公表を進めていく。
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Causes of Carryover |
2020年2月および3月に予定していた現地調査を実施することができなかった。また、勤務校での授業および他研究活動のため、遠方での調査を次年度に延期することとし、これら調査費用の次年度繰り越しを希望する。 次年度は、繰り越し金をもとに計画書に記載してあるこれまでに実施できなかった遠方での比較調査を実施する。また、関連する煉瓦造建造物の選定と調査も実施する予定である。 ただし、現地調査が困難な期間が想定されるため、現地調査ができるまでは、資料の購入、分析の実施、これまでの成果を論文投稿する予定である。
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