2020 Fiscal Year Annual Research Report
Anthropological research on musical improvisation and the embodiment of Afro-Creoles in Cabo Verde
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18K12606
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
青木 敬 関西大学, 文学部, 助教 (60791217)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 故郷 / 無形文化遺産 / 移動 / クレオール性 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度の研究は、新型コロナウィルス感染症の影響により、予定通りに進めることが困難であったものの、最終年度であったために執筆活動に十分な時間をあてることができた。主な執筆内容は以下の二点である。 一点目の内容は、西アフリカ島嶼国カーボヴェルデの音楽、歌謡モルナがユネスコ無形文化遺産に登録されたことにより、これからどのようにモルナの今日的価値を見出し、評価していくべきなのかについて分析した。具体的には、令和1年度に実施した現地調査による聞き取り調査によって得られたデータを示し、主に伝統的に演奏されるモルナと「ポピュラー音楽」として演奏されるモルナの双方が重要であることを指摘した。 二点目は、リスボンにおけるカーボヴェルデ人移民とカーボヴェルデ南部フォゴ島の島民の故郷観について考察したものである。とりわけ、映画監督ペドロ・コスタによる作品を分析しながら、カーボヴェルデ社会の実態、歴史、そして現在の島民が創造しようとしている故郷観を明らかにした。ここで示した重要なキーワードは「ディアスポラ」、すなわち島民の流動的な移動についてである。島民が移動していくことがいかに彼らが生きていくうえで重要なことなのか、さらに移住した新たな社会(ここではポルトガル社会)ではどのように現地住民に受け入れられ、反対に差別されているのかを示唆した。 このように、本年度は、カーボヴェルデ国内だけでなく、国外(ポルトガル)にも焦点を置いたことにより、今後の研究の視野を広げることができた。
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Research Products
(2 results)