2018 Fiscal Year Research-status Report
表現内容規制における内容中立性原則と「保護されない言論」の法理に関する研究
Project/Area Number |
18K12639
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
金原 宏明 熊本学園大学, 経済学部, 講師 (70811040)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 言論の自由 / 「保護されない言論」の法理 / 内容中立性原則 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の課題としては、①「保護されない言論」の法理および②内容中立性原則に関する、アメリカの伝統的判例法理の検討を予定していた。 ①「保護されない言論」の法理に関する判例法理の検討は、前年度から行なっていた。そのため、本年度はこれに引き続き、ある行為に言論の自由の保護を及ぼすか否かをどのように判断すべきか、その判断基準について検討した、Spence v. Washington, 418 U.S. 405 (1974)と、シャウアー教授の「範囲」/「保護」区分論との関係を整理することを試みた。その過程で、シュノアー教授、バグワット教授の興味深い見解に触れたため、Spence判決・「範囲」/「保護」区分論との比較を試みた。アメリカ憲法学説における、「範囲」/「保護」の線引きを、第一修正の目的・言論の自由の根拠論に基づくことはやはり困難である。そのアプローチとして、ア 基礎理論の外にある諸要因を持ち出すもの、イ 社会学的現象としてのアプローチを試みるもの、ウ 言論の自由の根拠論からスタートするもののそこに何らかの媒介項を介在させるものなどがありうる。 ②内容中立性原則に関する判例法理の検討についても、バーガー・コートの判例を中心に検討を試みた。当初は低価値ながら言論の自由の保護が及ぶことにつき争いのない、いわゆる商業的言論は本研究の対象としない予定であった。しかし、内容中立性原則の下では、内容規制には厳格審査の基準が原則として適用されるが、同じ内容規制であっても、それが商業的言論の場合には、内容中立規制にも適用される、いわゆる中間審査の基準が適用される。したがって、可能な限りこれも対象とする方が、内容中立性原則(および「保護されない言論」の法理)の全体像をより明確に示すことができるのではないかという疑問が生じたため、多少寄り道とはなったが、商業的言論についても整理を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「保護されない言論」に関する判例法理の記述的説明を試みる様々な見解を検討することができ、今後検討すべきアプローチをある程度明確化できた。また、内容中立性原則についても、重要判例を整理することができ、その全体像を示す目処がついた。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、進捗状況において触れた、商業的言論についての整理を論文にまとめる予定である。 第二に、「保護されない言論」の法理に関する学説の理解、特に、ニマー教授の「定義づけ衡量」論の現在における意義を検討する予定である。研究実績の概要においても触れたように、内容中立性原則についても、その全体像を示す目処がついた。
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Causes of Carryover |
購入を予定していたケースブックが改定予定であったため購入を延期したこと、発注したPCの関連機器の納品が遅れたことによる。
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Research Products
(1 results)