2021 Fiscal Year Annual Research Report
Content neutrality and "unprotected speech" principle
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18K12639
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
金原 宏明 熊本学園大学, 経済学部, 准教授 (70811040)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 表現の自由 / 保護されない言論の法理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アメリカ憲法学の議論をメインとして、「保護されない言論」の法理と内容中立性原則との関係について、検討を試みてきた。最終年度である本年度は、以下の整理を試みた。 1 前年度からの積み残しであるが、フェイク・ニュースの規制の可否に関する文献を整理し、あわせて、思想の自由市場論についての理論の進化について検討した。また、その過程で、近年の連邦最高裁が「保護されない言論」該当性の判断につき歴史あるいは伝統を重視するアプローチをとっていると分析されることが主流であるところ、そのように理解することが必ずしも判例内在的な理解として適当ではない可能性があるとの指摘に触れることができた。 2 1と関係するが、2012年のUnited States v. Alvarez事件判決において、アリトー裁判官反対意見が「公的関心事(public concern)」と第一修正による保護とを結びつけるかのような議論を行った。この「公的関心事」というタームは、2011年のSnyder v. Phelps事件判決においても用いられており、学説においても、規制対象を「公的関心事」に限定した形でのフェイク・ニュース規制の可否が検討されている。このように、「公的関心事」というタームが、「保護されない言論」の法理や、さらにはより広く表現の自由の内容規制一般に関する、現在の判例法理を理解するためのキーワードとなる可能性がある。そこで、「公的関心事」というタームについて、検討した。
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