2023 Fiscal Year Annual Research Report
Introductory Analysis on "Law of Information" in Private International Law
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18K12643
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
羽賀 由利子 成蹊大学, 法学部, 教授 (90709271)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人格 / 準拠法 |
Outline of Annual Research Achievements |
国境を超える情報の流通に関する法的問題の検討・分析という基本テーマに基づき、特に無体権である人格の問題についての分析に取り組んだ。 今日、人間は物理的な現実空間のみならずデジタルの仮想空間においても活動することができる。このような空間における活動においては、アバターがユーザー自身の表象でありアクターとなる。このようなデジタル空間における人格の表象が攻撃された場合に、その侵害が現実の人間であるユーザーに及ぶかについてを中心的な課題とした。ユーザーとアバターとの間にどのような紐帯があるかという学際的な分析を踏まえて、実際にアバターに対する侵害が生じ、法的解決が求められる場合に、いずれの国の法が適用されるか(準拠法問題)及び、そこにおけるプラットフォームが採用する規則の準拠法性について検討している。 準拠法の選択はその法的問題がいずれの国に最も密接に関係するかという要素(最密接関係性)を考慮すべきところ、仮想空間における活動と現実の人間とのつながりはどこまで認定されるべきか、とりわけ仮想空間においては別人格を用いることも技術的に可能であることから、人格とは何かという根本の問題にも取り組んだ。人格とは他の人間との関係(社会)において判断されるべきところ、最密接関係性の検討においても、問題となる人格と関連を有する社会への着目が重要である点が指摘される。この点は、従来は国(法域)が一つの単位とされてきた抵触法学において、新たな「場」としての可能性を指摘できる点で示唆を得られると考えられる。
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