2020 Fiscal Year Research-status Report
「動態的な著作権の制限規定」のすすめ~オーストラリア著作権法からの示唆
Project/Area Number |
18K12691
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 豊 山形大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (40528270)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 著作権 / 著作権の制限 / 制限規定 / 動態的な著作権の制限規定 / 権利制限 / フェアディーリング / フェアユース |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画では、令和2年度から、豪州法に由来する「動態的な著作権の制限規定」が、法体系の相違を超えて適合するものであることを明らかにする作業を開始することとなっていた。 しかし、 令和2年度は、コロナ禍のために研究室の使用ができない期間があったほか、当初予定していた国内、国外への出張についても中止を余儀なくされ、前年度以前から行っていた国内外の関連文献の収集についても、国内出張によりアクセスすることを想定していた図書館等の利用が制限されたため、オンラインで収集可能なものに限定して継続するに止まった。 令和2年度の後半からは、コロナ禍による影響が幾分軽減されたため、当初計画の作業である、「本研究が提唱しようとする『動態的な著作権の制限規定』が法体系の相違を超えて適合することを示す作業」を開始すること自体はできている。 令和2年度末の段階では、法体系ごとに著作者の権利に対する価値観の相違はあるものの、近年提唱されている「(著作物の)利用者の権利」を著作者の権利と同等のものとする価値観が、法体系の相違を超えて適合するとの仮説の裏付けを試みている。この作業には、法体系ごとの著作者の権利に対する価値観の相違が、「(著作物の)利用者の権利(あるいは利益)」の取扱に与える影響の解明が必須であるとの認識に至っている。この問題意識につき、ALAI JAPAN研究構想ワークショップ(2021年3月13日)にて報告済みである。また、同ワークショップにおいて、「動態的な著作権の制限規定」の具体的な制度設計について多くの示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和2年度は、コロナ禍のために研究室の使用ができない期間があったほか、当初予定していた国内、国外への出張についても中止を余儀なくされた。 本務校では本研究に関するオンラインデータベースへのアクセスは殆ど提供されておらず、当初計画で想定していた国内出張等による関連文献の収集に著しい制約があった。 これらの影響により、研究の進行が遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、令和2年度に比してコロナ禍の影響が段階的ではあるが軽減されつつある(例;研究室の使用が可能となったり、研究遂行の体制をオンラインに対応させつつある)ものの、いまだコロナ禍以前の状況とは異なり、研究活動の進度への影響が予想される。 この状況を踏まえ、令和3年度は、令和2年度後半から開始した、「本研究が提唱しようとする『動態的な著作権の制限規定』が法体系の相違を超えて適合することを示す作業」のうち、法体系ごとに著作者の権利に対する価値観の相違はあるものの、近年提唱されている「(著作物の)利用者の権利」を著作者の権利と同等のものとする価値観が、法体系の相違を超えて適合するとの仮説の裏付けを進める。この作業には、法体系ごとの著作者の権利に対する価値観の相違が、「(著作物の)利用者の権利(あるいは利益)」の取扱に与える影響の解明が必須であるとの認識を得ており、研究が遅延しているにもかかわらず当初計画よりも多くの作業が必要となった。令和3年度は本研究の最終年度であるものの、研究期間の延長を視野に入れて研究を推進する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、全ての出張が取りやめとなったことに加え、研究室が使用できない状態が続いたために、物品の購入も極めて小規模なものに止まった。研究期間の延長を予定しているため、令和3年度は令和2年度の当初予算と同程度の予算執行を予定している。
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