2018 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Verification of "household unit model" bias towards local policy implementation
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18K12700
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
荒見 玲子 名古屋大学, 法学研究科, 准教授 (20610330)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 政策対象 / 地域共生社会 / 家庭教育 / 多機関連携 / 行政組織 / 福祉国家 / 住民概念 / 行政管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の一年目として、先行研究の検討、主に「家族単位モデル」が社会政策の中でどのように制度上、機能・逆機能しているのかの検討を行った。申請時には、ケア労働を前提とする家族政策と、ケア労働を伴わない社会政策を扱うと記したが、主に、地域包括ケア(介護)・保育・母子保健と教育政策を中心に検討を行った。検討の結果次の二点が明らかになった。第一に、地域包括ケアやネウボラなどとくに全世代型共生社会システムの構築にかかわる政策分野では部局を超えた連携が難しい理由として、国から縦割りで降りてくる予算の結果、人的資源や財政資源が制約されることが指摘された。このような背景の下、「家族単位モデル」が、多問題家族を救うための障害になりうることが示唆された。第二に、児童福祉政策と家庭教育の関係について日本とアメリカの同種の政策(Head Start Program)を検討する中で、似たような政策目的でも政策の対象の捉え方・供給主体の方法が、それぞれの国の福祉国家の形成の中で重点を置くポイントが異なることが明らかになった。これらの研究については、それぞれ学術論文にまとめたり、学会・研究会報告を行った。この1年の作業を通じて、政策分野、また国家間で政策の具体的な機能の違いと、「家族単位モデル」がどのように関係するのかについて、政策対象者イコール住民の把握の観点から分析ができるのか、新たな課題が生まれた。2019年以降の検討課題としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の進捗状況としては、当初の予想以上に進んだ部分とやや遅れた部分が混在しているため、評価としては(2)おおむね順調に進展している、と位置付けた。当初の予想以上に進んだ部分は、政策の対象として住民の把握方法と世帯主義の関係を見ていくというように研究の焦点が定まってきたことである。遅れた部分は、留学から帰国1年目であったことや、学内体制の問題で非常に忙しく、研究にあまり時間をさけなかったため、先行研究の検討や国際的な状況において2か国しか扱えないなど、一定の時間投入が求められる作業を十分にこなせなかったことである。2019年度は遅れている分については挽回を目指し、さらに進んでいる部分については、より進められるようにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目にやり残した、国際的な福祉サービスの供給単位の状況と先行研究の検討・歴史的経緯の検討の残りを進めつ予定である。あわせて、当初の研究計画通り、各政策の実施過程において第一線職員及び担当課が家族内関係を扱う場面でどのように対処を行うのかについてのインタビュー調査の下準備となる作業を行う。
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Causes of Carryover |
物品購入等で端数が生じたからである。
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Research Products
(8 results)