2020 Fiscal Year Research-status Report
新興民主主義国家インドネシアにおける排他的イスラーム勢力の台頭
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18K12702
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
茅根 由佳 筑波大学, 人文社会系, 助教 (70772804)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | インドネシア / イスラーム / 大統領選挙 / ポピュリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、新興民主主義国家インドネシアにおける排他的勢力台頭の要因とその影響力拡大の戦略を解明することを目的としている。 2020年度は、2019年大統領選挙をテーマとして、今日のインドネシア社会における分極化の要因を明らかにした。その成果を、英語論文と日本語の書籍の一章にまとめた。 英語論文では、インドネシアの大統領選挙における分極化の一因となった、イスラーム主義運動の台頭について検討した。なかでも、野党候補のプラボウォ・スビアントへの支持動員に貢献したイスラーム説教師の役割に注目し、そのポピュリスト的動員戦略を分析した。 次に、日本語書籍の一章においては、大統領選挙におけるインドネシア最大のイスラーム社会組織であるナフダトゥル・ウラマー(NU)の役割に注目した。具体的には、現職のジョコ・ウィドドを支持した同組織が動員力を発揮できた要因として、①組織内の権力闘争が収束しNU執行部のリーダーシップが強化されたこと、②イスラーム主義勢力による著しい政治的台頭が組織内の結束を促したことを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の研究成果を出版することができた一方で、コロナ禍により計画していた現地調査を中止せざるを得なかった。国内の図書館、インターネットや手持ちの資料を用いて研究を進めているが、一次資料の収集が不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も現地への渡航が困難であるため、Zoomなどを用いたインタビュー調査や現地資料の取り寄せなどによって情報収集を進め、最終年度の成果を取りまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
コロナにより、現地調査のための渡航ができなかったため。未使用額は情報収集に充てる予定である。現地調査を予定しているが、引き続き渡航が不可能であった場合にはzoomを通じたインタビュー調査や現地からの一次資料の取り寄せなどを通じて情報収集を行う費用に充てる予定である。
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Research Products
(2 results)