2019 Fiscal Year Research-status Report
現代日本社会におけるブラジル人第二世代の文化変容に関する研究
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18K12958
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
山本 直子 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (10817208)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 在日ブラジル人 / 第二世代 / トランスナショナリズム / SNS / 分節同化理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、昨今の情報通信技術の発達による母国メディアやSNSの利用が、在日ブラジル人第二世代の社会編入のされ方に如何なる影響を与えるかを明らかにすることを目的とし、日本生まれ、もしくは6歳までに来日し日本で育っているブラジル人の若者を主な調査対象として研究を進めている。 本研究では、①ブラジル人第二世代のブラジルメディアの利用や、Facebookを始めとするSNS利用の実態を調査し、これらがポルトガル語能力の維持、第二世代独自のエスニック・コミュニティの維持・形成に果たす役割を明らかにすること、②主に公立学校で展開される外国人支援制度が持つ機能の変化を調査し、これらが第二世代のホスト社会編入に与える影響を明らかにすることを目的としている。 2年目となる2019年度には、1年目のフィールド調査で不足のあった部分について、追加のフィールド調査を行いつつ、これまでに集めたデータの分析を進めた。宗教施設への参与観察・インタビュー調査は引き続き定期的に行うことができた。これらの調査と並行して、ここまでに得られた結果をもとに学会発表、共著出版、英語論文の投稿を行い、関連する分野の研究者との意見交換を行った。 本年度の3月頃には、エスニックコミュニティや宗教団体を通して量的調査を行う予定でいたが、新型コロナウィルスの影響により、実施することが不可能となったため、研究計画を変更し、ここまでに得られている質的調査の結果から、母国メディアやSNS利用および外国人支援制度との関わりが、第二世代のエスニック・アイデンティティ形成やホスト社会編入にどう影響するのかを暫定的に分析し、論文としてまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度までに行った質的調査によって得られた結果や先行研究の検討による分析枠組みにもとづいて、第二世代の編入様式の分析を進めることができた。そして、ここまでの研究成果についての中間報告を学会報告、論文執筆という形で行うことができた。また、英語で論文を執筆し、国際的な雑誌に投稿するための準備を進めることができた。質的調査については順調に進んでおり、研究計画よりも前倒しで分析を進めることができている。 しかしながら、量的調査の部分で研究計画が遅れる状況となっている。本年度の後半には、エスニックコミュニティや宗教団体を通して在日ブラジル人第二世代とその家族に対する量的調査を実施する予定でいたものの、新型コロナウィルスの影響により、予定通りの調査を実行することが不可能となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に実施する予定であった量的調査については、現時点では実行が不可能となっている。また、継続して実施してきた宗教コミュニティや、居住地コミュニティの集会への参与観察も、3月より続く大規模集会の自粛により、当面は実施が困難な状況にある。次年度には、これらの調査について研究を大きく変更する必要がある。 量的調査については、新型コロナウィルスによる影響が収まったのちにデータ収集を行うのでは次年度末までの研究期間内に分析を終了することが間に合わない可能性が高く、現段階で入手可能な既存の統計データからの分析を検討する必要があると考えている。 また、宗教コミュニティやエスニック・コミュニティについては、これまでとつながり方に変化が見られるため、その点も注視しつつ、可能な方法で調査を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、量的調査にかかる調査費、量的データ分析のためのソフト購入費、3月のフィールド調査のために研究費を使用する予定でいたものの、いずれも新型コロナウィルスの影響による長距離移動の自粛や大規模集会の自粛のために調査実施が不可能となった。 これらの調査は、次年度に調査が再開できる時期に使用したいと考えている。
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[Book] 現代社会を読み解く知-第2版2020
Author(s)
三浦 直子 , 師玉 真理, 小田切祐詩, 中畑 邦夫, 比嘉 徹徳, 布川 純子 , 佐藤 史緒, 三橋 大輔, 山本 直子, 山田 博雄 , 山本 崇広, 室井 遥, 多田 庶弘, 渡辺 演久
Total Pages
224
Publisher
学文社
ISBN
4762029467
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[Book] Cultural and Social Division in Contemporary Japan: Rethinking Discourses of Inclusion and Exclusion2019
Author(s)
YOSHIKAZU SHIOBARA, NOAH McCORMACK, KOHEI KAWABATA, JOEL MATTHEWS, WOOKI PARK-KIM, MARK WINCHESTER, SHINNOSUKE TAKAHASHI LAWRENCE YOSHITAKA SHIMOJI, CHIHO OGAYA, ERIKO SUZUKI, ERI ISHIKAWA , MACHIKO ISHIKAWA, MICHIKO SAMBE, KOHEI INOSE, SHUN HARADA, TERUHIRO YAMAKITA, NAOKO YAMAMOTO, MIKAKO SUZUKI
Total Pages
278
Publisher
Routledge