2018 Fiscal Year Research-status Report
最低生活保障の基本原理構築に関する研究~理論研究と実証研究からのアプローチ~
Project/Area Number |
18K12995
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
村田 隆史 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (20636477)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 憲法25条 / 生存権 / 生活権 / 最低生活保障 / 基本原理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、深刻化する今日の貧困問題の改善を実現するための基礎的作業として、最低生活保障の基本原理構築に向けた検討を行うことである。具体的には、①憲法25条(生存権・生活権)が「社会的生活保障制度」を志向していたことを明らかにする理論研究と、②生活に困難を抱えている人々の生活実態を明らかにする実証研究(実態調査)、を軸に研究を進めていく。 1年目(2018年度)は、上記の理論研究と実証研究に取り組む事前準備を中心に行った。理論研究の準備として、研究課題をより明確にするために先行研究の検討を行った。また、各種研究会や学会に参加し、最新の社会保障研究に関する情報収集をした。社会政策学会、日本社会福祉学会東北部会、日本福祉図書文献学会、社会保障政策研究会、医療・福祉問題研究会などが情報収集の対象である。 実証研究の準備としては、青森県内の行政機関、保健・医療・福祉の職能団体に協力を依頼し、県内の貧困問題(主に低所得者が利用する生活保護制度、生活困窮者自立支援制度、無料低額診療事業、各種保険料・税の減免制度など)に関する調査協力を得ることができた団体もある。また、保健・医療・福祉実践者から県内の実態を聞くこともできた。 研究成果としては、著書(単著、共著、共編著)の執筆と学術論文の投稿、学会報告を行った。学術論文は、公益財団法人日本医療総合研究所が発行している雑誌に掲載されている。研究成果に対しては他の研究者からの反応もあるので、今後の研究に反映していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究に向けた事前準備と研究成果の発表を予定通りに行うことができた。また、公表した研究成果に関しては、学会や書評で取り上げられることが多かった。肯定的な評価も否定的な評価も存在するが、それに応えることでさらに研究を進めることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目(2019年度)は、先行研究を分析して出てきた課題や他の研究者からの指摘をふまえて、理論研究に取り組む予定である。また、青森県内の貧困問題に関する実態調査を可能な分野から行っていく。 成果が得られたものについては学会報告を行い、著書や論文として積極的に公表していく。
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Causes of Carryover |
物品費は収集した資料やデータなどをまとめるノートパソコンを購入する予定であったが、資料やデータ収集が円滑に進まなかったこともあり、2年目(2019年度)に購入することにした。また、校務との兼ね合いで、予定していた資料収集のための研究出張を行うこともできなかった。 2年目(2019年度)は、より計画的な研究出張の計画で資料収集を行い、データベースを構築していく予定である。
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