2022 Fiscal Year Research-status Report
Study about relationship with disability and social capital
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18K13002
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
田中 紗和子 日本福祉大学, アジア福祉社会開発研究センター, 客員研究所員 (90732850)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人々の関係 / 作業 / 地域 / 共生社会 / 場 / 地域福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「排除は個人の能力ではなく人々の関係性の問題である」という問題意識のもと、障害者を含む地域社会における人々の関係を質的研究により明らかにすることを目的としている。具体的には、地域におけるソーシャル・キャピタルとして人々の関係に着目し、作業と人々の関係という視点から文献調査およびフィールドワークにおいて研究を進めている。文献調査では、地域における作業を介した取り組みにおいては、支援-被支援のような一方向の関係だけでなく、生活背景の異なる参加者間の立場が状況に応じて変化しうる関係が存在しており、その中で作業は、共通の話題や共感の対象となることで、自然な交流を促すという特徴を生かし、人々の関係や、意識と行動に変化をもたらす役割を果たすこと、また、作業を介して時間と場所を共有することの積み重ねは、支え合う関係や心の拠り所となるような場の変化を生みだすということが明らかになった。フィールドワークについて、当初の対象地ニカラグアは治安の悪化やCOVID-19の影響により継続が難しくなったため、日本国内の居場所支援でのフィールドワークを継続している。2023年度は関係者へのインタビュー調査を実施すべく、調査計画の作成や分析方法の検討をしている。また、2022年度は、フランスにてハイブリット形式で開催された第18回世界作業療法学会において、2019年のニカラグアで行った調査についてオンラインでのポスター発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究期間の中で、新型コロナウイルス流行により、フィールドを変更したこと、初期に研究デザインに関する基礎的な文献調査が長引いてしまった影響もあり、進捗はやや遅れている。日本国内でのフィールド調査は継続しているが、2022年度に予定していたインタビュー調査および、論文執筆をすることができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、フィールド調査として、参与観察の継続とインタビュー調査を実施する。調査結果の分析枠組みを検討し、その成果を論文としてまとめ、学術雑誌へ投稿する。参与観察は、2018年から参加している活動にて継続する。参与観察では、作業を介してどのような人々の関係が生じており、それらの人々の関係がどのような空間を作り出しているのかという視点で行う。必要に応じて、その他の活動の視察も行う。インタビュー調査は、まず、活動のコアメンバーを対象としたフォーカスグループミーティングを行い、インタビュー内容の絞り込みと、個人に対する非構造的インタビューを行う対象者の選定を行う。その後、選定された対象者に対して個別インタビューを依頼し実施する。インタビュー内容については、対象者の了承を得た上で録音し、逐語録を作成する。
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Causes of Carryover |
本研究は当初、中米ニカラグアでのフィールド調査を行う予定で予算を計上していたが、新型コロナウイルスの影響により調査地を日本国内に変更している。同様の理由により、参加を予定していた国際学会についてもオンライン参加となり、旅費が生じなかったため、次年度使用額が生じている。今年度は、国内でのフィールド調査の実施(参与観察、インタビュー調査など)、学会参加、物品費などで研究費を使用する。
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