2023 Fiscal Year Annual Research Report
Study about relationship with disability and social capital
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18K13002
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
田中 紗和子 日本福祉大学, アジア福祉社会開発研究センター, 客員研究所員 (90732850)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人々の関係 / 作業 / 地域 / 共生社会 / 場 / 地域福祉 / 正統的周辺参加論 / 障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域社会におけるソーシャル・キャピタルとして、障害者を含む人々の関係を質的研究により明らかにすることが目的である。具体的には、人と人との関係に影響を及ぼす要因として「作業」に着目し、作業を介した人々の関係という視点から、文献調査およびフィールドワークを実施してきた。当該年度はインタビュー調査を実施した。対象者は、本研究の事例としている居場所づくりの参加者である。インタビューは非構造化面接で、企画などを担当するメンバー6名でのフォーカスグループミーティングおよび、参加者12名(地域福祉の支援者として勤務している者4名、精神障害や引きこもりの経験がある者8名)に対する個別インタビューを行った。 結果、参加者は、活動を通じて、人間関係の拡大、交流によって生じる自己の探求、活動に向けた試行錯誤、自分らしさを発揮するなどの経験をしていることが分かった。また活動は、学校、職場、施設、自宅とは異なる社会的な場所であるため、立場や役割の曖昧さを有しており、日常における立場に関係のない支援―被支援関係が状況に応じて変化していた。調理など活動で行われる「作業」が、参加の形態を増やし、人々の関係を創出する、時間を進める、何もしなくても居やすくする、自分たちの活動を作るという認識を高めるといった役割を果たすことが、こうした人々の関係形成に繋がっていた。同時に、参加者同士の関係ができてきて、小グループなどができ始めると会話が主となり、作業の必要性は低下していた。これらのことから、活動における人々の関係の状況に応じて、活動内容を調整していくことで、参加者同士が相互に見守り支え合う関係が作られていくことが示唆された。つまり、作業を介した人々の関係を捉えるためには、個々の関係だけでなく実践全体における人々の相互関係が生じる過程も合わせて見ていく必要があることが明らかになった。
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