2019 Fiscal Year Research-status Report
幼小接続期におけるアンガーマネジメントプログラムの開発
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18K13056
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
麻生 良太 大分大学, 教育学部, 准教授 (10572828)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 幼児の不安 / 幼児の期待 / 幼児の認識 / 校種の認識の違い |
Outline of Annual Research Achievements |
幼児の不安やとまどいだけでなく,幼児の期待,そして幼児が小学校に対してどのような認識をもっていると幼保小の教員が認識しているか,そしてその認識は幼児教育と小学校教育の教員の間でどのようにズレているかを明らかにすることは,今後の幼保小連携,そして接続期カリキュラムを両者が話し合いながら作成していくうえで,重要な情報となると考える。 当該年度は,期待・不安・認識を,木村(2010)が提案する「社会文化的環境」「物理的環境」「対人的環境」の3つから整理し,幼保小の教員が,小学校に進学する幼児が小学校に対してどのような期待・不安,そして小学校に対する認識を抱いていると考えているかを調査することを目的として研究を行った。 方法としては,幼稚園,保育所(園),こども園,小学校で幼保小連携に携わる教職員を対象とした。内訳は幼稚園教諭14名,保育所(園)教諭27名,こども園教諭31名,小学校教諭31名の計103名であった。幼保小連携に関するアンケートとして,(1)小学校で幼児が期待していることはなんだと思いますか(2)小学校で幼児が不安に感じていることは何だと思いますか(3)幼児は小学校についてどのような認識を持っていると思いますかを質問した。 結果と考察 幼児が期待していると思うことについては,「社会文化的環境」において,全校種の多くの教員が,幼児が期待していると考えている。一方,幼児が不安に感じていることについては,「対人的環境」において多くの教員が,幼児が不安に感じていると考えていることが明らかとなった。ただし,期待・不安両方で幼児教育の教員と小学校教員間に認識のズレも確認でき,この認識のズレを幼児教育の教員と小学校教員間で共有することがスタートカリキュラム等の作成において重要であることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度は,小学校1年生を対象に怒りの感情理解の実験・調査を行う〈研究目的Ⅰ〉。調査時期は幼小接続期である小学校1年生の1学期(4~7月)である。縦断研究であるので,小学校1年生の怒りの感情理解の実験・調査および児童の怒りの感情生起場面における教職員の支援・指導のインタビュー調査〈研究目的Ⅱ〉については,平成30年度の研究計画と同様に進めていく考えであった。 しかし,調査を行う予定であった1月~2月,新型コロナウイルスの流行の報道があり,急遽,調査を中止せざるを得ない状況に陥った。したがって,小学校1年生を対象に行う予定であった怒りの感情理解の実験・調査は令和元年度は未実施である。 このような状況に鑑み,研究課題の進捗状況は(4)遅れているとせざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究であるが,まずは,現在調査を終えている保育園,幼稚園,小学校の教職員に対して行ったアンケート調査の分析を行う。特に,今年度より完全実施の学習指導要領に記載されている「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」をもとに行ったアンケート調査を分析することで,幼児教育の教職員と小学校の教職員との間の子どもの姿の認識のズレを浮き彫りにすることは,今後幼保小連携を考えるうえでも重要である。もちろん,このズレにもとづく児童の困り,そしてその困りを起因とする怒りを適切にマネジメントするための教育方法を考える一助ともなると考える。 現時点では新型コロナウイルスが収束しておらず,幼児児童への実験・調査を行うことは困難である。今後,事態が好転しても,教育現場が実験・調査を許可する否かは不透明である。こうしたことを踏まえると,現在のデータを学会誌等で発表していくことが研究の推進としても重要であると考える。
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Causes of Carryover |
旅費について,新型コロナウイルスの影響により,学会発表等の出張がすべてキャンセルとなったため,次年度使用額が生じた。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画としては,すでに行ったアンケート調査を分析するための統計ソフトを追加で購入することを計画している。
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Research Products
(1 results)