2018 Fiscal Year Research-status Report
母子の身体接触場面で子どもが母親へ及ぼす影響と有効な行動レパートリーの実証的検討
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18K13111
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西中 華子 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 部局研究員 (60801595)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 母子相互作用 / 身体接触パターン / 乳児 / アタッチメント / 母性 / 育児支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.先行研究の検討と新たな視点の提示:乳児とその母親の母子相互作用において,抱っこやさすり行動といった身体接触がどのような役割を果たすのかについて,とりわけ母親から乳児への影響のみでなく,乳児から母親への影響についての積極的意味について文献検討を行った。その結果,母親から乳児への影響についての研究がほとんどであり,前言語期の乳児から母親への身体接触を通じた影響に積極的な意味を見出している研究はみられなかった。そのため,乳児から母親へ及ぼされる影響を考慮に入れた,母子相互作用の新たなモデルについて検討を行った。 2.母子の身体接触における有効な行動レパートリーの検討:1と関連し,母子の身体接触が,乳児のネガティブな情動表出の改善,さらに母親のメンタルヘルスの改善に有効であるのか,有効であるのならば具体的にどのような行動レパートリーが有効であるのかに関する文献検討を行ったが,このような観点からなされた検討はほとんどみられなかった。そのためこの点についても実証的に検討していく必要性が明らかにされた。 3.母親のメンタルヘルスと乳児の情動表出,及び身体接触行動の頻度の関連に関する予備的検討:母親のメンタルヘルスの状態と乳児の情動表出や,身体接触を生起させる頻度に関する実証的な資料が多くないため,乳児とその母親に対する予備的分析を行った。その結果,出生順位,母親のアタッチメント傾向が,乳児のネガティブな情動表出の頻度,及び母親の身体接触行動の頻度と関連することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では生後4ヶ月から10ヶ月までの乳児とその母親を対象とした調査を行っているが,生後間もない乳児においては感染症などの体調不良,同様に乳児の兄弟姉妹の体調不良による調査予定の変更が起こりやすく,調査の実施がやや難航している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は余裕を持った調査日程の調整,及び場合によっては研究の目的を達成しうる範囲内で対象者の数を減らすなどの対応をしていく予定である。
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Causes of Carryover |
調査日程が想定よりも遅れたことにより,学会発表や論文投稿もやや遅れているため,それに関わる費用を本年度に使用するに至らなかった。学会発表及び論文投稿は今後行っていくため,それに関わる費用は次年度に使用していく計画である。
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