2020 Fiscal Year Annual Research Report
Choosing science as a career path: Qualitative analysis of students' decision-making process
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18K13256
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 紗知 大阪大学, 国際教育交流センター, 准教授 (70769067)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 理系 / 自己認識 / 質的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「理科離れ」が懸念される中、理系の大学生が進路として理系を選択するに至った要因を同定することである。国内の理科離れが懸念される中、日本には一定数の生徒が「理系学部に進学」したり、「理系キャリアを選択」したりするという現状がある。そこでこの現状に基づき、理系・文系学部や学科に所属する大学生に半構造化インタビューを実施し、そのインタビューデータを質的手法により解析することとした。予備調査を含む3年間の本研究実施期間内に、予定通り54名の学生インタビューを完了した。インタビューデータの分析では、「理系の大学生はどのような個人体験を経て『理系』を自己の進路として選択するに至ったか、またそこにある共通性は何か」という視点に基づき解析を進めた。解析の結果、必ずしも「理系学生=理科好き」という単純な図式は成り立たないことがわかった。むしろ学生は、周りの学生と比較した時の自身の得意・苦手教科の認識、家庭環境、親の関心や期待、親の職業、さらには教員の文系・理系観といった周囲の影響を受けながら、理系としての自己認識を徐々に確立していくことが明らかとなった。また、一旦、文理選択を終えた後も、この文理選択に伴う悩みや葛藤を抱え続け、周りの生徒や家族との絶え間ない比較を通して、自身の能力や適性を把握するということが明らかとなった。このプロセスを「理系・文系観の形成プロセス」と名付けて発表した。
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