2018 Fiscal Year Research-status Report
アイデンティティと精神的健康の日常・発達的関連についての縦断的研究
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18K13299
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
畑野 快 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (50749819)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アイデンティティ / 精神的健康 / 発達 / 日誌法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の研究成果は,(1)先行研究をレビューした上で,アイデンティティの日常的・発達的感覚についてのダイナミズムの解明という本研究の意義を確認したこと,(2)レビューの一部をEuropean Association for Research Adolescenceにおいて発表したこと,(3)日誌法で使用する項目を作成し,成人約800名に対して調査を実施し,その妥当性について検討したこと,の3つにまとめることができる。(1)については,Eriksonに始まるアイデンティティ研究を概観し,特に3次元モデル・5次元モデルという現代のアイデンティティ研究の中心をなす研究を中心にレビューを行い,本研究を検討する上での素地を固めた。その成果の一部は児童心理学の進歩(査読付き論文)にまとめられ,採択されている。(2)に関しては,アイデンティティの感覚とパーソナリティ特性の関連についてCross Lagged Panel Model及びRandom Intercept Cross Lagged Panel Modelによって検討を行い,両者の相互的関連について明らかにした成果をポスター発表した。(3)に関しては,将来についてのアイデンティティの日常的感覚を測定するための項目を先行研究に基づき開発し,パックトランスレーション法によってその国際的活用可能性を確認した後、オンラインリサーチ会社に調査を依頼し、5日間にわたって調査を行った。その後、開発した項目の因子構造をSEMによって確認し、また、日常的な不安、抑うつ、主観的well-beingとの関連を検討することで、開発した項目の妥当性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の研究計画は,(1)先行研究をレビューした上で,アイデンティティの日常的・発達的感覚についてのダイナミズムの解明という本研究の意義を確認すること,(2)レビューの一部をEuropean Association for Research Adolescenceにおいて発表すること,(3)日誌法で使用する項目を作成し,成人約800名に対して調査を実施し,その妥当性について検討することであった。2018年度の活動ではそれぞれについて達成しているため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の研究成果として,日常的なアイデンティティの感覚を測定するための項目が作成され,研究を遂行するための素地が整った。2019年度の研究の推進方策は,2018年度に作成した項目を用いて,2時点での縦断調査を行い,,アイデンティティ,主観的幸福感,抑うつ傾向の日常的感覚の関係を潜在成長曲線モデルによって検討する。潜在成長曲線モデルは,変数の切片と傾きを切り分けて抽出し,変数間の相関関係に加えて共変関係を明らかにできるモデルである。ここでは,wave 1, 2のデータをそれぞれ用いて,アイデンティティ,主観的幸福感,抑うつ傾向の切片と変化の関係を検討し,wave 1, 2両結果の相関係数を確認することで,安定性を確認する。これらの解析結果については国内・国際学会にて発表していく予定である。
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