2018 Fiscal Year Research-status Report
Study on end-of-life communication with adolescent / young adult cancer patients
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18K13313
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 沙蘭 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (70636331)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | がん / 思春期・若年成人 / 医療コミュニケーション / End-of-Life discussion / 終末期 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年がん患者に対し、終末期における治療や療養に関わる多様な意思決定を視野に入れ、病状や予後、治療目標等について、早期から話し合いを行うことの重要性が指摘されている。しかし当該領域の研究の多くは、がんの好発年齢である中年期から老年期の患者を対象としたものであり、小児・思春期・若年成人がん患者を対象とした研究は少ない。一方臨床現場においては、患者の年齢が低い場合に、終末期に関する話し合いに対して医療者の困難感が高い。そこで本研究では、思春期・若年成人患者との終末期に関する話し合いがもたらす影響を探索的に明らかにすることを目的とする。 平成30年度には、15-29歳でがんに罹患した患者を対象に実施予定である「思春期・若年成人(Adolescent and Young Adult;以下AYA)患者の終末期に関する話し合い(End-of-Life discussion;以下EOLd)に対する意向に関する調査」および、AYA世代のがん患者の治療に従事する医師を対象に実施予定である「AYA患者とのEOLdに対する医師の意識に関する調査」の準備段階として、共同研究者間で質問紙調査の調査項目の選定のためのディスカッションを重ねた。当該調査を実施するために使用できる既存の尺度が存在しないため、本調査で使用する調査項目は、申請者が過去に行ったインタビュー調査から抽出した内容を元に本研究のために作成する。特に患者については対象者の母集団の数が少ないこともあり、調査項目の妥当性や信頼性を検討するための予備調査を行うことは困難である。したがって、研究者間での十分なディスカッションをもって、妥当性の担保に充てることが望ましい。本年度の会議により、ある程度の見通しがたったため、今後は患者およびAYA世代のがん治療に従事する医療者数名に内容の確認を依頼した上で、質問紙調査の準備を始める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度には、共同研究者間で質問紙調査の調査項目の選定のためのディスカッションを重ねた。調査項目は、申請者が過去に行ったインタビュー調査から抽出した内容を元に本研究のために作成するものである。したがって、調査項目の選定は慎重に行う必要があり、現在も検討が続いている段階である。当初は平成31年度には調査準備に取り掛かる予定であったが、調査項目の確定に想定よりも時間を要しており、若干の遅れが生じている。しかし、この手順を簡略化することは研究の質を低下させることにつながるため、このまま十分な検討を重ね、研究者間で合意が得られるまで、続けていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
共同研究者で対面の検討会議を複数回もうけ、平成31年度の夏頃をめどに、調査項目を確定する。 調査項目が確定次第、書類を作成し、倫理審査委員会への申請を行う。なお、倫理審査は、申請者が所属する東北大学での中央審査とする。その他の協力施設においては、中央審査の承諾書のみで調査実施が可能な場合には審査不要とし、調査開始の準備を始める。施設によって、自施設での審査が必要な場合には、極力中央審査の承諾書を添付することで迅速審査として申請を行う予定とする。審査が完了した施設から、順次調査を開始する。 調査完了は、患者調査、医師調査ともに、平成32年の秋頃を予定している。
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Causes of Carryover |
当初、平成30年度中に倫理審査委員会への申請を始めることを想定していたが、実際には審査の段階まで至らなかった。そのため、倫理審査に要する旅費、その後の調査準備費用等の支出が生じず、次年度使用額が生じた。 今後研究自体は、当初の予定の内容で進めていくため、平成31年度以降に、当初平成30年度に使用する予定であった支出が生じる見込みである。
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