2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K13390
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小寺 諒介 神戸大学, 理学研究科, 特命助教 (20634512)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アファインヤンギアン / トロイダルLie代数 / Weyl加群 / 表現論 / 可積分系 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)前年度に引き続いて,トロイダルLie代数の表現で,最高ウェイト条件と可積分条件を課して定義されるもの(Weyl加群)の研究を行った.トロイダルLie代数は,アファインヤンギアンのパラメータを特殊化したものと関係し,アファインヤンギアンの表現の定義関係式を決定するために,その特殊化の表現を調べるのは常套手段である.結果として,レベルが1の場合のWeyl加群の指標を求め,それがアファインヤンギアンのFock表現と同じサイズを持つという観察を得た.この結果をプレプリントとして発表し,論文を学術雑誌に投稿した. (2)和田堅太郎氏(信州大学)との共同研究:cyclotomic q-Schur代数の研究を動機として和田が定義した(q,Q)カレント代数と,別の動機からFinkelberg-Tsymbaliukが研究していたシフト量子アファイン代数との関係を明らかにした.この結果を使い,qが1の冪根でない場合の(q,Q)カレント代数の有限次元既約表現を分類した.論文は準備中である. (3)上田衛氏(京都大学)との共同研究:アファインヤンギアンと長方形型アファインW代数との関係について研究し,部分的な結果を得た.この研究について,中国の浙江大学で行われた研究集会で発表した. (4)前年度に発表した論文 On Guay's evaluation map for affine Yangians が Algebras and Representation Theory に受理された. (5)2/24から3/6の2週間にわたり,パリのアンリポアンカレ研究所に滞在し,表現論のプログラムに参加した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)でトロイダルLie代数のレベル1 Weyl加群の指標を具体的に求めることができたため,この表現がアファインヤンギアンのFock表現の特殊化であるという予想がたった.また,一般のWeyl加群の指標を特殊函数として理解することは,今後の研究課題として非常に興味深い問題である. (2),(3)の研究は計画時には予定していなかったが,アファインヤンギアンとそれに関連する代数系の研究が,他の話題とも結び付き始めていると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
以下の研究を予定している. (1)アファインヤンギアンと長方形型アファインW代数との関係についての研究を進める.アファインW代数は可積分系と密接に関係しており,本研究課題の目標(アファインヤンギアンの表現論によってさまざまな可積分系を包括的に捉える)からも重要であると考えている. (2)アファインヤンギアンのFock表現の定義関係式の決定と,トロイダルLie代数のWeyl加群の研究を並行して行う.
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Causes of Carryover |
2020年3月に予定されていた日本数学会年会が中止になり,そのために見込んでいた出張費を使わなかったため. 次年度使用額は7200円と少額なので,計画に影響はない.
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