2019 Fiscal Year Research-status Report
変形エルミート・ヤン・ミルズ接続と線束平均曲率流の基本的な性質の解明
Project/Area Number |
18K13415
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山本 光 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 助教 (50778173)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 変形エルミートヤンミルズ接続 / 変形理論 / モジュライ空間 / ミラー対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は特殊ラグランジュ部分多様体やラグランジュ部分多様体に対して成り立つ結果が,そのミラー対応物である変形エルミートヤンミルズ接続や線束平均曲率流に対しても同様に成立するか否かを様々な状況で試験し,それによって変形エルミートヤンミルズ接続と線束平均曲率流の基本的な性質を理解することである.今年度は研究計画で実施予定であった問題の1つがほぼ解決した.「複素部分多様体とその上の変形エルミートヤンミルズ接続の組のモジュライ空間は何か?」という問題である.これは学習院大学の河井公大朗氏との共同研究であり,完成した論文は現在投稿中である.問題は変形エルミートヤンミルズ接続と複素部分多様体の組のモジュライ空間としていたが,我々が解決したのは複素部分多様体が全空間に一致している場合の変形エルミートヤンミルズ接続のモジュライ空間である.その場合,結論は「変形エルミートヤンミルズ接続の変形には変形の障害がなく,変形エルミートヤンミルズ接続のモジュライ空間は常に底空間の1次ベッチ数の次元を持つ有限次元の滑らかな多様体になる」というものである.これは特殊ラグランジュ部分多様体に対しては成り立つことが知られているので,また一つ両者の類似性が明らかとなった.また,同じ論文の中で,変形ドナルドソントーマス接続の変形に関しても研究した.こちらは変形の障害があるということが分かった.障害が消えればモジュライ空間は滑らかな1次ベッチ数元の多様体になることも分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書で掲げた5つの問題にうち,2つが昨年度,1つが今年度に解決した.さらに今年度の結果は変形エルミートヤンミルズ接続のモジュライ空間だけでなく変形ドナルドソントーマス接続のモジュライ空間に関する結果も含んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度解決した変形エルミートヤンミルズ接続のモジュライ空間だが,複素部分多様体とペアにして変形したらどうなるか?ということは分かっていない.おそらく変形の障害があるであろうと予想している.これに関して研究を進める可能性が高い.また,今回の研究で新しく取り入れた変形ドナルドソントーマス接続に関しても未知のことが多いので,この研究も継続して行っていく.また,研究計画調書で掲げた残りの問題にも計画通り挑戦していく.
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Research Products
(7 results)