2022 Fiscal Year Research-status Report
Continuum theory of growing cellular tissues and its application to organ formation
Project/Area Number |
18K13516
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
藪中 俊介 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 任期付研究員 (60749852)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 細胞選別 / 二成分流体 / 極性 / 相分離 / 温度勾配 |
Outline of Annual Research Achievements |
発生過程においては、異なる種類の細胞が適切に分離すること(細胞選別)が重要である。細胞選別の起こる連続体モデルに関して考察を進めた。極性場の効果が細胞腫によって異なるモデルを構築し、連続体モデルの数値シミュレーションを行い、異種の細胞腫の相分離が起こることを示した。具体的には、高分子溶液等での相分離現象を記述する二成分流体の連続体方程式の構築法を参考にし、極性場による自己推進運動を導入した。このようなモデルでは、極性場の影響以外にも、二成分の持つさまざまな性質の非対称性が導入可能である。上記の相分離は平衡系のものとは異なり、アクティブな効果があって初めて生じるものである。現在、極性場を多成分にした場合や、相分離の時間発展の詳細なベキ則の解析等をおこなっている。 またこのような相分離現象を記述する二成分流体の理論の基礎的な研究も行なった。一例としては、温度勾配下での熱浸透効果の研究をおこなった。温度勾配下での輸送現象は、非平衡物理の基礎的な問題として長年考察されているものの、定性的に輸送方向の理解をすることすら困難な場合も多い。今回は、二成分流体の連続体方程式を温度不均一の状況での一成分の気液転移を記述する動的 van der Waals理論に倣って構築した。その方程式を解析することで、熱流により誘起される力の表式を導出し、臨界点近くの二成分流体が上部臨界温度をもつか下部臨界温度をもつかに応じ、輸送の方向が異なることを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、細胞選別の興味深い理論モデルを構築することができ、構築した理論モデルの解析も順調に進展し、当初計画どおりの研究実績を出すことができたため、「おおむね順調に進展している。」と判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、理論モデルの挙動を調べるために、界面の構造の運動に関する解析計算、及び、相分離ダイナミクスの直接数値計算による解析を進め、極性場に誘起された細胞選別効果のダイナミクスを調べていく。また、二成分の極性を独立に考えた場合の理論モデルの拡張も行う。
|
Causes of Carryover |
本年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大等の影響を受け、当初計画で予定していた外国出張を取り止めたことから次年度使用額が生じた。次年度使用額は、旅費としての使用を予定している。
|