2018 Fiscal Year Research-status Report
原子核励起状態の半径測定のための反跳距離透過法の実証
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18K13566
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 信之 大阪大学, 核物理研究センター, 助教 (80750778)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 核反応実験 / ハロー核 |
Outline of Annual Research Achievements |
私たちの世界を構成する物質は原子からできており、各原子を特徴付けているのが原子核である。原子核は宇宙における物質の生成過程を理解する上で最も基本的な要素の一つであり、その静的(核構造)および動的(核反応)な性質は、純粋な核物理学的興味からだけでなく、宇宙物理分野からの要請もあって盛んに研究されてきた。本研究では、原子核励起状態の半径測定手法である反跳距離透過法 (N. Kobayashi et al., NIMA, 830 (2016) 67) を実験によって実証することである。原子核の反応研究は、実験上の困難さから基底状態のみを対象としており、これまで励起状態に対する反応を扱うことは出来なかった。しかし、我々が考案した反跳距離透過法は直接反応の手法を励起状態に適用するものであり、これまで不可能とされてきた“原子核反応を用いた励起状態の構造研究”を可能にする。本年度は、この手法を実現する実験セットアップの具体的な設計を行い、いくつかの新しいアイディアを得た。これに伴い、これまで考えていた実験セットアップより効率的な実験セットアップを考案するに至った。現在、この手法を用いた実験セットアップの詳細設計を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、反跳距離透過法 (N. Kobayashi et al., NIMA, 830 (2016) 67) を実現する実験セットアップの具体的な設計を行い、いくつかの新しいアイディアを得た。これに伴い、これまで考えていた実験セットアップより効率的な実験セットアップを考案するに至った。そのため、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
新しく考案した実験セットアップの詳細設計を行い、平行してこの手法の概要を論文にまとめる。
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Causes of Carryover |
新しく考案した実験セットアップにより、これまで考えていたセットアップに変更が必要なため。これまでの装置では、最終的に得られる反応断面積における統計誤差が大きくなる見積もりであったが、新しいセットアップでは、原理的に系統誤差が大きく軽減される。新しいセットアップでは、以前のものからかなり簡略化されるため、今年度の予算執行を行う必要はなかった。一方、新しいセットアップではダブルアームのスペクトロメータを用い、スペクトロメータの内部に検出器を置く必要があるが、この検出器の開発に翌年度分として請求した助成金を使用する。
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Research Products
(9 results)