2018 Fiscal Year Research-status Report
すばる望遠鏡の補償光学を用いた高解像度Paα輝線観測による銀河進化過程の解剖
Project/Area Number |
18K13588
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
小山 佑世 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (40724662)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 銀河進化 / 星形成銀河 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「あかり」の遠赤外線全天サーベイデータから選び出された近傍宇宙の爆発的星形成銀河から放出されるPaα輝線を空間的に分解し、その内部で起きている塵に埋もれた星形成活動を空間的に分解して調べることを目指す。今年度は、上記目的を達成するために必要な、すばる望遠鏡の近赤外線観測装置IRCSに搭載する新しい狭帯域フィルターの検討・製作を行った。Paα輝線は静止波長(1.875μm)では地上から観測することができないが、少しだけ赤方偏移した銀河を狙うことで地上から観測することができる。本研究では、大気の透過率を考慮し、中心波長1.984μmの狭帯域フィルターを製作することで、赤方偏移0.05~0.06の銀河のPaα輝線を狙う。フィルターは年度内に納品され、期待どおりの透過率曲線が得られていることを確かめている。次年度にはこのフィルターを観測装置に搭載し、観測時間の獲得を目指す。 さらに今年度は、「あかり」、WISE、SDSS、GALEXなどのアーカイブデータを用いて本研究を進めるうえで不可欠となる銀河のダスト減光に関する基礎的な研究も行った。具体的には、銀河の赤外線と紫外線の光度比の比較によって見積もられる星の光への減光量と、星形成領域から放たれるHα輝線とHβ輝線のフラックス比で見積もられるガス輝線への減光量を比較し、大質量銀河ほど(また星形成率の低い銀河ほど)ガス輝線への減光が強いことを示した(Koyama et al. 2019, PASJ, 71, Issue 1, id.8)。星の光への減光量とガス輝線への減光量のちがいは、銀河内部における星形成領域の分布と関係していると考えられるため、本研究で目指す高解像度のPaα輝線観測によって検証することができると期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究に不可欠であるすばる望遠鏡の近赤外線観測装置IRCS搭載用の狭帯域フィルター(中心波長1.984μm)の製作は順調に完了し、期待どおりの透過曲線が得られていることを確認できており、次年度以降に観測所のタイミングを見計らって装置に搭載する段階である。そのため、本研究はおおむね順調に進展していると考えるが、一方で当初予定していた既存データ(補償光学なし)の解析はやや遅れている。実際に上記の新規フィルターを用いた観測データが取得され、その解析を行ううえで必要になるため、既存データを用いたデータ解析手法の確立とその論文化を早急に行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
国立天文台ハワイ観測所とすばる望遠鏡のスケジュールについて調整を行い、次年度以降のなるべく早いタイミングで新しく製作したすばる望遠鏡IRCS用の狭帯域フィルターを実際に装置にインストールする。そのうえで、すばる望遠鏡の共同利用観測を申請し、観測時間獲得を目指す。これと並行して、既存データの解析を速やかに完了し、データ解析手法を確立するとともに、その成果を論文として執筆する。
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Causes of Carryover |
今年度は予定していた研究成果発表のための出張旅費が必要とならなかったため、旅費使用分において残額が生じているが、次年度以降に予定されている研究成果発表・研究打合せのための出張旅費として使用する予定である。
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Research Products
(12 results)