2022 Fiscal Year Research-status Report
一般相対論的な輻射・偏光輸送計算で探る降着ブラックホール・中性子星の質量とスピン
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18K13594
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川島 朋尚 東京大学, 宇宙線研究所, 特任研究員 (90750464)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ブラックホール / 降着円盤 / 相対論的ジェット / 一般相対論的多波長輻射輸送計算 / ブラックホールシャドウ / X線偏光 / イベント・ホライズン・テレスコープ |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者が開発している一般相対論的多波長輻射輸送コードRAIKOUをさらに発展させ、世界で初めてX線のブラックホールシャドウを計算可能にした。そしてコード論文を執筆し、Astrophysical Journalに受理された(Kawashima et al. 2023)。また、RAIKOUコードを用いて、銀河中心Sgr A*のブラックホールシャドウや多波長スペクトルを計算し、イベント・ホライズン・テレスコープによるSgr A*のシャドウ初観測論文の理論解釈に貢献した(EHT Collaboration 2022)。 上記の例は、非常に降着率が低い場合の降着円盤でなおかつ超大質量ブラックホール(太陽質量の100万倍を超えるような質量のブラックホール)に適用した実績である。RAIKOUコードを降着率が高くコンプトン散乱が支配的になる場合の計算にも適用し、恒星質量ブラックホール周囲の極めて広範囲な領域に広がった降着流モデルのX線スペクトル計算も実施し、新たな知見が得られた。 また、ブラックホール降着円盤やコロナから放出されるX線偏光を計算すべく、RAIKOUコードの拡張を行なった。具体的にはWalker-Penrose定数と呼ばれる座標不変量を用いて曲がった時空中における偏光ベクトル基底およびストークス・パラメータ(I,Q,U,V)の輸送計算モジュールを作成・実装した。Chandrasekahrによる平行平板からの偏光を含む放射や反射の解析解を用いた標準円盤からのX線偏光マップおよび偏光を含むスペクトルについてのテスト計算を実施し、先行研究(Schnittman & Krolik 2009, 2013)の結果を再現することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初めてX線シャドウへ適用も可能にした多波長の一般相対論的輻射輸送コードを開発し、論文が受理された。超大質量ブラックホールへの適用が順調に進んでいる。また、恒星質量ブラックホールへの適用や、偏光輻射輸送コードの開発も着実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
偏光を考慮したコンプトン散乱計算モジュールを組み込み、偏光を含む一般相対論的多波長輻射輸送コードを完成させ、IXPEに代表されるX線偏光観測データと比較することでブラックホール周囲のプラズマの構造に迫る。また、引き続き多波長スペクトルとイメージの時間変動からブラックホールスピン値に制限を与える手法を構築していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍による出張制限の影響が依然として残っていたためである。コロナ禍による制限は本格的に緩和してきており、今年度の国内出張計画のうち約3件で使用する計画である。
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Research Products
(36 results)