2018 Fiscal Year Research-status Report
水素・窒素同位体異常をもつ地球外有機物の起源と化学進化の解明
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18K13605
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋口 未奈子 九州大学, 惑星微量有機化合物研究センター, 特任助教 (80770627)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 始原的隕石 / 地球外有機物 / 鉱物観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
H30年度において,その場同位体測定を行うための始原的隕石の試料準備および試料観察・同位体分析領域候補の選定を行った。 隕石母天体の違い、また、母天体での二次変質・変成の影響を明らかにするため,異なる化学グループ (異なる母天体を由来とする)の始原的隕石4種類を準備した。 それぞれの隕石について,同位体分析に必要な平面を得るために表面研磨処理を施した厚片を作成した。分析対象である地球外有機物への汚染や変質を最大限抑えるため,アルミナ粉末を用いた乾式研磨について,作業手順を構築し,それぞれの隕石試料に適応した。 走査型電子顕微鏡を用い,それぞれの厚片の研磨面約1cm四方の領域において,元素マッピングによる鉱物分布,鉱物観察を行った。 金属に富む始原的隕石 (CV/CB隕石)において,微粒子からなるマトリックス領域に,数十~百ミクロン程度の炭素質物質が濃集したクラストを同定した。その他の隕石 (CR, CM隕石)については,有機物が多く存在すると予想されるマトリックス領域について,地球上の風化の影響が少ない領域を選定した。今年度 (H31年度)は,選定した分析候補領域に対してその場同位体分析を実施し,地球外有機物の水素・窒素同位体組成と,同位体異常をもつ有機物について水素・窒素同位体組成の関係を調べ,原始惑星系円盤~隕石母天体における化学進化を議論する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
試料準備および広範囲に渡る分析領域選定に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度 (H31年度)は,選定した分析候補領域に対してその場同位体分析を実施する。始原的な隕石有機物の水素・窒素同位体組成と,同位体異常をもつ有機物について存在度,同位体組成を隕石間で比較する。 また,隕石から抽出した高分子有機物についても同様の分析を実施する。それらの結果から,始原的な隕石有機物の隕石母天体における変質・変成による化学進化を明らかにし,初期太陽系における地球外有機物の形成・進化過程について議論する。
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