2018 Fiscal Year Research-status Report
濡れ性勾配のワンパス加工を実現する超音波援用切削法および3次元接触角解析法の開発
Project/Area Number |
18K13666
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
嶋田 慶太 東北大学, 工学研究科, 助教 (30633383)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 超音波援用切削 / 熱力学的接触角解析 / 微細構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
超音波援用スピンドル(多賀電機SC-450 SP-H24)に対して設計したダイヤモンド工具を取り付け,階層的微細構造を創成し,その濡れ異方性について接触角計(共和界面化学 DM-501)を用いて検証を行った.階層的微細構造は超音波振動と工具回転,送り運動のおおよそ二桁程度最高速度の違いによって除去面に構成される3段階構造となっており,この構造は運動軌跡から想定される構造どおり作製することを達成した.また濡れ性についての解析に関して,当初は格子ボルツマン法によることを検討していたが,まずは検証が比較的容易である熱力学的接触角解析と呼ばれる内部エネルギを考慮した静的な手法により液滴の断面方向のうち濡れ広がりやすい方向を計算した.本手法では気液固3界面の表面エネルギを標準化し,液滴形状を円弧と近似することで鏡面での接触角のみをパラメータとして計算できる.これらの近似により精密は困難ではあるが,定性的には濡れ広がる方向について計算することができることが示された.また親水処理として知られる大気圧プラズマ照射による濡れ性の変化についても検証を行ったが,照射直後は構造の有無によらず接触角計測下限を下回り測定不能となった.また45分後でも接触角は25°程度と構造がない場合の75°程度を大きく下回った.したがって大気圧プラズマを援用しながら加工を施し,照射域をモザイク状に除去することにより傾斜濡れ性構造を創成できることが予想される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
階層的構造の創成についてはプロジェクト開始前の段階でも創成は確認していたが,創成可能な形状の種類を工具形状と合わせて増加させ一方向濡れ構造の模擬などある程度複雑さのある構造も創成が可能となった.また熱力学的接触角解析によって構造の濡れ広がる傾向については定性的に解析が可能となり,これら実験と解析の内容について論文として1報まとめることができた.大気圧プラズマ援用実験は加工後に対して検証を行い,接触角低下の効果を確認できた.
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Strategy for Future Research Activity |
実験に関しては潤滑剤に添加剤を入れ化学的な作用について付与できるか,とくに傾斜的な機能性が実現することを検証する.また解析に関しては動的な影響を考慮できるよう,当初の予定で想定していた格子ボルツマン法と前年度に取り組んだ熱力学的接触角解析の双方を有効に活用することを行い,濡れ現象の解明と所望の機能(一方向濡れや一方向撥水)が期待できる形状について解析的に求めることができるように研究を進める.
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Causes of Carryover |
シミュレーション用に購入を予定していた計算機に関して,本年度は静的な解析を中心に行ったことにより既設の計算機による計算で対応が可能であったため翌年へ繰越し,翌年度により高性能な計算機を購入するため.
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Research Products
(1 results)