2021 Fiscal Year Annual Research Report
Research on evaluation of evacuation sites and evacuation routes based on profile of space including disasters
Project/Area Number |
18K13962
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
高田 知紀 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 准教授 (60707892)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 無病息災 / 地域防災と健康 |
Outline of Annual Research Achievements |
和歌山市の伊達神社では、地域の歴史的文化的背景を知るとともに、地形を体感しながら歩くことで健康を増進しながらも、災害リスクの高いエリアを同時に把握するという複合的な価値を組み込んだマップを作成するプロジェクトを展開していた。2021年度は、和歌山市伊達神社における地域防災拠点としての神社空間の活用に関する取り組みについて、神社関係者および地域住民に対するヒアリングを行った。ヒアリングの結果から明らかになったのは以下の点である。 ①防災という地域課題に対して、神社を入り口に対話と実践を展開することで、地域住民はハザードリスクだけでなく、地域空間の多様な価値構造を認識することにつながる。 ②神社を拠点に防災活動を行うことは、多様な世代の、多様な関心をもった人びとの協働を実現する。このことは、発災時の共助を実現するうえで重要な契機となる。 災害情報と避難経路、住民の健康増進と交流、さらに地域の歴史的文化的背景を統合的に捉えたマップは、人びとが自身の暮らす地域の特性を理解し、健康に暮らしながら、災害時に適切に行動するためのコミュニティの下地を形成することに貢献する。このような考えは、日本の伝統的な幸福概念である「無病息災」を現代的に再評価することである。本研究では、災害を含む空間の履歴をふまえて地域防災コミュニティを形成していくうえで、この「無病息災」という視点をもつことの意味を提示した。 なお、本研究課題の成果については、2022年度研究成果等公開促進費の採択が決定し、『地域防災と時間性』(ユニオンサービス)というタイトルで2023年2月に学術図書として出版する予定である。
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