2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K14158
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
河口 範明 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (50642782)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シンチレータ / 中性子 / 中性子シンチレータ / ガラス / セラミックス / 単結晶 / 結晶化ガラス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は高感度な中性子検出器の実現に向けた新規10B系中性子シンチレータの開発である。10B系中性子シンチレータは現行の6Li系中性子シンチレータに比べ、中性子との相互作用確率が高く、資源が豊富という利点がある。 目標性能として、バックグラウンドのガンマ線やX線に対する感度を可能な限り少なくするため実効原子番号が低く、波高値計測において特段の工夫がなくとも簡単に計測が可能なレベルの発光量の材料を目指しており、初年度は、単結晶、ガラス、セラミックスのサンプルを多数作製し、系統的に評価した。その結果、様々な知見が得られ、評価したサンプルの内、Ce添加CaF2-Al2O3-B2O3ガラス、Ce添加SrF2-Al2O3-B2O3ガラス、Ce添加BaF2-Al2O3-B2O3ガラス、Tb添加Al2O3-B2O3ガラス、Ce添加SrO-B2O3ガラス、Sn添加MgO-Al2O3-B2O3ガラス、Eu添加BaAlBO3F2(BABF)結晶化ガラスの研究結果については査読付き英語論文誌に投稿し、受理された。 本年度得られた成果の一部を紹介すると、一つはガラス系サンプルにおけるフッ素添加による発光量向上が挙げられる。酸フッ化物ガラスは従来中性子シンチレータとして評価されていなかったが、本研究で類似組成と比べて非常に高い発光量が得られることがわかり、優れた性能を有することがわかった。また、ガラスの一部を結晶化させた結晶化ガラスについても10B系中性子シンチレータとしてほとんど検討されていなかったが、高いポテンシャルを有することがわかってきており、今後検討を進めたい。その他にもいくつか興味深い結果が得られており、次年度も引き続き検討を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高性能な新規10B系中性子シンチレータの開発を目指し、単結晶、ガラス、セラミックスのサンプルを作製、系統的に評価し、大多数のサンプルについては思わしくない性能しか得られなかったが、一部のサンプルについては良好な特性が得られ、論文や学会発表として報告できているため、順調に進展していると考えている。例えば、査読有り論文誌に、Ce添加CaF2-Al2O3-B2O3ガラス、Ce添加SrF2-Al2O3-B2O3ガラス、Ce添加BaF2-Al2O3-B2O3ガラス、Tb添加Al2O3-B2O3ガラス、Ce添加SrO-B2O3ガラス、Sn添加MgO-Al2O3-B2O3ガラス、Eu添加BaAlBO3F2(BABF)結晶化ガラスに関する研究についての英語論文を投稿し、受理された。また、Ce添加CaF2-Al2O3-B2O3ガラス、Ce添加SrF2-Al2O3-B2O3ガラス、Ce添加BaF2-Al2O3-B2O3ガラス、Ce添加Li2O-B2O3-SiO2ガラスについて国際学会で、Ce添加YBO3セラミックス、Zn4B6O13セラミックス、Tb添加BaAlBO3F2(BABF)ガラス、Eu添加Li3PO4-B2O3ガラス、Tm添加Li3PO4-B2O3ガラス、Eu添加SrO-Al2O3-B2O3ガラス、Ce添加BaF2-Al2O3-B2O3ガラス、Tm添加B2O3-Al2O3-SrOガラス、Gd添加50Li3PO4-50B2O3ガラスについて国内学会で報告した。これらの様々な研究の結果として10B系中性子シンチレータに適した材料形態や組成が明らかになりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
多数の単結晶、ガラス、セラミックスの新規組成の10B系中性子シンチレータサンプルを作製、評価したことで、様々な知見が得られており、次年度はさらなる探索を続けつつも、成果をまとめるフェイズに入る。 本年度得られた特筆すべき成果としてガラス系サンプルにおけるフッ素添加による発光量向上が挙げられる。これまで酸フッ化物ガラスは従来中性子シンチレータとして評価されていなかったが、本研究で類似組成と比べて非常に高い発光量が得られており、優れた性能を有することがわかった。この理由はフッ素元素によるトラップ中心の低減効果が影響している可能性があるが、まだ詳細はわかっておらず、検討を継続したい。また、ガラスの一部を結晶化させた結晶化ガラスも、結晶化をさせていないガラスに比べ高い性能を有する場合があることがわかってきており、さらに検討したい。他にも、セラミックス、単結晶サンプルについても鋭意検討しており、今後、引き続き研究を進めたい。
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Remarks |
プロフィールや研究成果を紹介するwebページ。
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Research Products
(45 results)
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[Presentation] Dosimetric Properties of Ce-doped CaF2-Al2O3-B2O3 glasses2018
Author(s)
T. Kato, S. Hirano, H. Samizo, G. Okada, N. Kawaguchi, K. Shinozaki, H. Masai, T. Yanagida
Organizer
ISNOG 2018, 17-21 June, Quebec, Canada
Int'l Joint Research
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