2020 Fiscal Year Research-status Report
バイオアッセイ法における超臨界水を用いた有機物分解手法の開発
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18K14164
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
永岡 美佳 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 核燃料サイクル工学研究所 放射線管理部, 主査 (60747658)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バイオアッセイ / 超臨界水 / 前処理 / 有機物分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
α線及びβ線放出核種における内部被ばく評価を行う際、生体試料(尿及び便)を用いたバイオアッセイを行う必要がある。バイオアッセイでは、まず、試料中の有機物を分解する必要があり、この工程では、試料の突沸による作業者への二次被害、大量の酸溶液(硝酸、フッ化水素酸等)の使用による施設・環境への影響等が問題となっている。また、内部被ばく評価のために速やかな分析・測定が求められる。本研究では、これまでのバイオアッセイの有機物分解法に代わる、超臨界水を利用した新しい方法を検討した。 2018年度からの研究では、尿の模擬試料を用いて、亜臨界反応、超臨界反応、超臨界水酸化反応を行い処理後のTOC濃度、陰イオン濃度の測定を行った。また処理後の試料を蒸発乾固して、その重量変化、色等を考察した。 TOC濃度の測定結果では、亜臨界反応(150℃)において濃度が少し増加するも、超臨界反応(400℃)では約33%減少していた。一方で超臨界水酸化反応ではTOC濃度は極端に減少し、その減少率は約87%であった。陰イオン濃度の測定結果では、リン酸二水素イオンが超臨界反応、超臨界水酸化反応により減少している一方で、超臨界水酸化反応によって硝酸イオンが生成されていた。処理後の試料を蒸発乾固して重量を測定した結果では、温度を上げるとともに、重量も減少したが、反応後の試料は黄色味をおびていた。一方で、過酸化水素を少量添加した超臨界水酸化反応では、反応後の試料は無色透明であり、蒸発乾固後の試料も定常の有機物分解時と同様な白色となった。以上の結果から、超臨界水酸化反応によって、有機物分解が完了した可能性が示唆された。 2020年度は業務の都合により、試験はあまりできなかったが、超臨界水酸化反応後の化学分析方法について、文献調査等を行った。2021年度は、化学分析方法の検討を進めていき、超臨界水を利用した新しい手法を確立する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度冬頃から二つの分析チームのチームリーダを急遽掛け持ちすることとなり、予定より研究に割く時間が少なくなったとともに、2020年度は人事異動等もあり、定常業務が多忙となり本研究に係る実験があまりできなかった。しかし、超臨界水酸化反応後の化学分析方法について、文献調査等を行い、また分析環境を整備して、一年延長した2021年度に無事終了できるよう準備を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
国内及び海外におけるバイオアッセイ手法等の情報収集を行い、それらの文献等を参考に、化学分析方法を確立させ、尿の模擬試料を用いて、超臨界水酸化反応後における化学分析方法を確立する。
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Causes of Carryover |
(理由)業務が忙しく、分析があまり行えなかったともに、今年度はコロナの影響もあり、予定していた出張回数に満たず、使用予定額にまで達しなかった。 (使用計画)コロナがもう少し落ち着いた状況になれば、研究内容について検討するための出張を行うとともに、反応菅等の消耗品の購入を行う。
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