2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K14226
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
原口 亮介 中央大学, 理工学部, 助教 (80781369)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ハロゲン結合 / 不斉触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は面不斉フェロセニル基を有する新規ヨードトリアゾリウム塩を新たに設計し, ほとんど未開拓分野であるキラルなハロゲン結合供与型触媒の開発を目指し研究を行った. まず初めに, ほとんど触媒機能が明らかにされてこなかったヨードトリアゾリウム塩の触媒機能評価を行った. ジエンとイミンとのアザディールスアルダー反応をモデル反応に置換基の嵩高さと触媒活性との相関関係を調べた結果, 適度な嵩高さを付与したヨードトリアゾリウム塩が高い触媒活性を示すことを見いだした. また, DFT計算および13CNMRスペクトルの結果により, ヨードトリアゾリウム塩の嵩高さがルイス酸性に大きく影響を与えることを見いだした. 本研究成果はChemical Communicationsに掲載され, ハロゲン結合供与型触媒の新たな分子設計指針を与える結果となった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
面不斉フェロセニル基を導入したヨードトリアゾリウム塩の合成を既に達成している. また, X線単結晶構造解析による同定および触媒活性中心付近に効果的な不斉場が構築されていることも確認している. しかし, アザディールスアルダー反応をモデル反応にした場合, 有意な立体選択性の発現は確認できなかった. 現在, 向山型のマンニッヒ反応やStrecker反応などに適応し本触媒の不斉反応への展開を検討している.
|
Strategy for Future Research Activity |
面不斉ヨードトリアゾリウム塩の触媒機能評価を進めると共に, その他のキラル源の検討も行う. 申請者は既に, 光学活性メントールやボルネオールを有するヨードトリアゾリウム塩の新規合成法の開発に成功している. 今後はこれらのハロゲン結合ドナーも不斉反応に適用し, 不斉ハロゲン結合供与型触媒における新たな分子設計指針の確立を目指す.
|
Causes of Carryover |
当初計画していたより早く, 面不斉フェロセニル基を有するヨードトリアゾリウムの合成法が確立でき, その後の不斉触媒機能評価を行えたため, 使用額が比較的抑えることができた. 一方, 本年度は別の不斉ハロゲン結合供与型触媒の合成にも取り組むため, 試薬代や溶媒代などの消耗品費が多くなることが予想される.
|