2018 Fiscal Year Research-status Report
アジサイが形成する2種類の花器官-その作り分け機構の解明
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18K14461
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
奈島 賢児 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (30779616)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ドラフトゲノム / DNAマーカー / ファインマッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度にはアジサイドラフトゲノム配列の整備およびファインマッピングに利用可能なDNAマーカー開発を行った。 既報のアジサイゲノム配列が存在せず、また保持しているアジサイゲノム配列についても短鎖リードのアセンブルを行ったものであり、コンティグ長が平均約3kbと短く、ファインマッピングや遺伝子同定に用いることが難しいものであった。そこでファインマッピングが可能となるよう、アジサイドラフトゲノム配列の整備を行った。長鎖の塩基配列解読が可能な次世代DNAシークエンサーを用いて約80Gbの配列を取得した。この配列を用いてDe novoアセンブルを実施したところ、平均長570Kb、合計2.17Gbの配列が得られた。得られたゲノム配列について、2種類のアジサイF2集団のRAD-Seqデータ分析と照らし合わせた結果、手まり咲き遺伝子は4個のコンティグにわたる計約5Mbの領域内に座乗する可能性が考えられた。 ゲノム配列からの遺伝子同定においては、さらにファインマッピングを実施することで座乗位置候補を絞り込む必要がある。ファインマッピングでは、上記の遺伝子座上候補領域内で乗換えが発生している個体を選抜する必要があるため、乗換えが発生している個体を選抜可能なDNAマーカーの開発を行った。これまでに、座乗領域内においてCAPSマーカー開発を行い、2種のCAPSマーカーを開発した。平成31年度についても引き続きマーカー開発を行い、利用可能なDNAマーカー数を増やす予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の当初予定では、アジサイのゲノム解読およびアセンブルにより、ファインマッピングに利用可能なゲノム配列を獲得し、ファインマッピングを行うためのDNAマーカー開発を進めていることとなっていた。平成30年度終了時には、ファインマッピングに利用可能なアジサイのゲノム配列を獲得することができ、さらに座乗領域の推定を行うことができた。また、ファインマッピングに利用可能なDNAマーカーについても2種開発ができている状況である。以上のことより、これまでの研究については当初計画の通り順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ファインマッピング用のDNAマーカー開発を引き続き行う。また育種集団約1,000個体についてファインマッピングを進め、ゲノム上の原因遺伝子の座乗位置を特定する。また手まり咲き遺伝子のトランスクリプトーム解析を行い、がく咲き品種―手まり咲き品種間で発現量に差がある遺伝子を見出す。花芽の形態形成が進む時期である9月頃の花芽についてサンプリングを行い、短鎖リードの次世代シークエンサーを用いたRNA-Seq解析を実施する予定である。
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