2020 Fiscal Year Research-status Report
アジサイが形成する2種類の花器官-その作り分け機構の解明
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18K14461
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
奈島 賢児 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (30779616)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | RNA-seq / リシークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度については、アジサイゲノムに対して遺伝子マッピング作業を実施し、アノテーション付与を実施し、全ゲノムへの遺伝子アノテーションの付与を完了した。原因遺伝子の座乗している可能性の高いゲノム領域について、座乗している遺伝子の中に既報の形態生成に関与する遺伝子があるかどうか調査した。しかし、この領域中には既報のホメオティック遺伝子は見出されず、遺伝子機能から原因遺伝子候補を特定することはできなかった。てまり咲き品種―がく咲き品種間で、原因遺伝子の遺伝子発現量に差がある可能性を考え、トランスクリプトーム解析により発現量に差がある遺伝子の検出を行っている。令和2年度末時点では、RNA-seqにより取得した配列について、ゲノム配列へのマッピング作業を完了している。現在は引き続き、有意な遺伝子発現量の差異のある遺伝子を検出するためのデータ分析を行っている。また、劣性のてまり咲き品種においては、てまり咲きの原因遺伝子の遺伝子機能を失う欠損を有していると考えられる。遺伝子中に塩基置換やトランスポゾンなどの配列挿入があるかどうかを明らかにするため、配列分析を進めている。令和2年度末時点では、てまり咲き品種2種およびがく咲き品種1種について、ショートリードおよびロングリードシークエンサーを用いたリシークエンスを実施し、配列を取得した。現在は配列差異を検出するため、ゲノムワイドに品種間の配列比較を実施している。今後はトランスクリプトームデータおよび変異検出のデータを比較し、原因遺伝子候補を推定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では令和2年度中に全分析を完了予定であったが、コロナによる影響で分析がやや遅れている。当初予定では、令和2年度中にトランスクリプトーム解析を完了している予定であったが、データ分析作業が令和3年度の初頭まで期間が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
トランスクリプトームデータ分析を実施し、てまり咲き品種―がく咲き品種間で、発現量が有意に異なる遺伝子を網羅的に検出する。トランスクリプトームデータならびに連鎖地図情報から候補遺伝子が見出された際には、複数の品種間で配列比較を実施し、原因遺伝子候補としての妥当性を検討する。
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Causes of Carryover |
参加予定だった国際学会がオンライン開催となり、出張旅費に返金が生じたため。 次年度使用額については、塩基配列分析や発現解析に用いる試薬・プラスチック消耗品の購入および塩基配列分析の委託に使用する。
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