2020 Fiscal Year Annual Research Report
Estimating adaptive differentiation between two varieties of the genus Thujopsis to Pacific side / Japan Sea side climate based on cold tolerance characteristics
Project/Area Number |
18K14494
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
稲永 路子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所 林木育種センター, 主任研究員 等 (30757951)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アスナロ属 / 電解質漏出法 / 糖分析 / RNA-seq |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、昨年度延期した糖分析と、cDNAデータベースの改良を行った。 糖分析では、新型コロナウイルス対策として北海道大学への出張が中止となったため計画を変更し、規模を縮小して共同研究者が実験を行った。9月、10月、11月、および1月に採取した試料について、アラビノース、フルクトース、グルコース、スクロース、ラフィノースの5種類の糖含有量を推定したところ、全ての糖で9月から1月にかけて増加傾向を示した。中でもラフィノースの増加幅が大きく、9月と1月の間に12.9倍の差が検出された。しかし、明確な産地間差は見られなかった。 cDNAデータベースの改良では、詳細なアノテーションを行った。続いて同じタンパク質をコードしていると予測される配列の重複と、種子植物以外の生物のアノテーションのみが付与された配列を除外したところ、81,395個のコンティグ配列のセットが得られた。このデータベースをリファレンスとして各試料データをマッピングしたが、統計解析を期間中に完了することができなかった。 本研究の結果、岐阜産アスナロおよび福島産ヒノキアスナロの間では、9月から10月、および3月後半の50%致死温度はわずかにアスナロが高かったことから、アスナロ属では低温順化の最も早い段階において生育地への局所適応が起こっている可能性が示唆された。一方、糖分析では産地間差が見られなかった。トランスクリプトーム解析では当初の予定を変更し、cDNAデータベースの充実を優先したため、最終的な統計解析を完了できなかった。今後は9月、10月、および3月後半のサンプルについて統計解析を行い、耐凍性試験で観察された産地間差に寄与する遺伝子の候補を絞り込む予定である。
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