2020 Fiscal Year Annual Research Report
Considering the evolution and diversification of marine plankton from "photosymbiosis" -Verification by planktonic foraminifera-
Project/Area Number |
18K14507
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高木 悠花 千葉大学, 大学院理学研究院, 助教 (10785281)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 浮遊性有孔虫 / 光共生 / 共生藻 / 18SrDNA / 光合成生理 / FRRF |
Outline of Annual Research Achievements |
光合成藻類を細胞内に保持し栄養的に相互依存する「光共生」は,宿主にとって新たな生理機能をもたらし,進化の原動力となる重要な生命現象である.しかし,海洋プランクトンにおける光共生は,近年になってメタゲノムを用いた多様性の把握が始まったばかりであり,その実態はほぼ未解明である.そこで本研究では,海洋生態系や物質循環にとって重要な浮遊性有孔虫を対象とし,実際にプランクトン個体を採取し,共生の物的証拠(共生藻遺伝子)と共生活動の証拠(光合成生理)を解析することで,1.どれほどの種が光共生性をもつか(普及度),2.何と共生するか(パートナーシップ)という基礎情報に加え,3.どのような共生関係か(生理特性)を個体レベルで明らかにすることに取り組んだ.
令和2年度は,前年度から取り組んでいた,「2.何と共生するか」について,浮遊性有孔虫1個体をメタバーコーディング解析した結果のとりまとめを継続して行ったことに加え,「3.どのような共生関係か」について,高速励起フラッシュ蛍光装置を用いた有孔虫ー藻類共生体の光化学系IIの特性解析および光合成ー光曲線の解析を行った.これらを取りまとめた論文を執筆し,現在は共著者らに回覧している状態にあり,まもなく国際誌に投稿できる段階にある.また,これまで生体としての研究がほとんどなされてこなかったGlobigerinita uvulaという種について,共生藻の垂直伝播を初めて確認した論文が,国際誌にFeatured articleとして掲載された.
本研究全体としては,浮遊性有孔虫における従来知られていなかった光共生関係の発見や,光合成生理に基づく共生関係の新規概念図の提示,共生パートナーシップの解明など,浮遊性有孔虫の光共生について基礎的かつ重要な知見を得ることができた.この成果は,有孔虫のプランクトンとしての生態の理解に大きな進展をもたらしたと考えている.
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Research Products
(6 results)