2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K14547
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
山口 創 公立鳥取環境大学, 環境学部, 講師 (10709281)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナレッジマネジメント / 民話 / 自然資源保全 / 動機づけ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年に引き続き知識創造を促進する組織特性について検討した。まず前年からの継続課題としてコミュニティにおける知識創造に関する動機づけの解明に取り組んだ。農山村に存在する文化的知識といえる民話の継承活動をおこなうS民話会を事例にとりあげ、S民話会メンバーに対して民話の習得(暗黙知の再創造)の動機づけに関する半構造化インタビューを実施し、質的研究法を援用し分析をおこなった。分析の結果、メンバーが習得した知識を披露する機会や他のメンバーの民話語りを聴く機会があることが、内発的動機づけ、外発的動機づけの両面において影響していることが示された。 また、組織的な知識創造において知識創造を促進するリーダーの重要性はよく知られている。そこで鳥取県D地区の自然資源保全活動を事例に、自然資源の保全手法の創造に関わる人材(リーダー)確保の仕組みを調査・分析した。D地区の保全活動において、中心的役割を果たしているメンバーを対象にインタビュー調査を実施した結果、活動が始まった1980年代後半から現在に至るまで植栽に用いる植物の選定・育苗、保全作業の2つの領域で知識創造が繰り返されており、各領域で専門的な知識を有するメンバーが主導的な役割を果たしてきたことが示された。さらに、このようなナレッジリーダーはメンバーの人的ネットワークを通じて確保されてきたが、活動に参加するメンバーの固定化、高齢化とともに後継者確保が難しくなりつつあることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染の拡大により県外への出張、インタビュー調査を中断する事態が複数回発生した。そのため、調査計画に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ感染拡大状況によっては県外での調査が困難になる状況が想定される。調査活動を円滑におこなうため、当初想定した県外での調査と並行し、調査中断のリスクが比較的低い県内の調査対象を新たに選定し、調査活動を行う予定である。
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Causes of Carryover |
論文投稿スケジュール、調査計画の遅れによるものである。次年度は県内調査を増やす計画であり調査旅費および論文掲載料として使用する計画を立てている。
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