2018 Fiscal Year Research-status Report
Examining cancer biology from the aspect of breed specificity in dogs.
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18K14581
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坪井 誠也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (20721963)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腫瘍 / 疫学 / 獣医学 / 犬種特異性 |
Outline of Annual Research Achievements |
イヌの腫瘍疾患は、特定の腫瘍が特定の犬種に好発する傾向があり、犬種の背景にある遺伝的素因がその病態発生に深く関与すると考えられる。そこで、本研究では、特定犬種に好発する腫瘍疾患について、犬種という軸から比較病態解析を行うことで、その背景に潜んでいる癌の発生メカニズムを探索する。 本研究は大きく分けて3つの軸から構成される。1.疫学調査によって国内の犬の腫瘍の発生状況を整理し、腫瘍の好発犬種を特定する。2.病理組織学的に詳細に解析し、腫瘍の組織型やがん微小環境にどのような違いが見られるかを犬種ごとに検討する。3.犬種間で違いが認められた腫瘍については包括的なゲノム解析・トランスクリプトーム解析を行い、好発犬種に特徴的なゲノム変異や遺伝子発現パターンを導き出し、犬種特異性の高い腫瘍の病態発生の解明を目指す。 本研究1年目にあたる平成30年度では、主に罹患症例の臨床情報の収集・整理を行なった。具体的には東京大学獣医病理学研究室に蓄積されたデータベースを利用し、腫瘍疾患発生状況に関する疫学的調査を行なった。犬の皮膚腫瘍の犬種・発生部位・診断名に関する発生状況を調べたところ、ゴールデンレトリバーやバーニーズマウンテンドグなど、これまで知られていた腫瘍好発犬種に加え、レオンベルガーやミニチュアプードルなど特定の犬種で腫瘍発生のオッズ比が高いことを確認した。本研究の結果については現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画予定である【1.罹患症例の臨床情報の収集・整理】は順調に進展しており、当初は悪性黒色腫、血管肉腫、組織球性肉腫に限定して研究を行う予定だったが、現在行なっている医療情報基盤の整備により、今後は多様な腫瘍疾患に対してより正確に疫学調査を行うことができると考えている。一方、【2病理組織学的解析】および【3遺伝子変異・発現解析】は未着手であり、当初の予定より若干遅れている。以上を踏まえると、一部に若干の遅れが見られるものの、全体としては概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、病理データベース以外に加え動物医療センター内の医療情報を整理しており、今後はより多種の腫瘍疾患について疫学調査を進め、好発犬種を特定していく予定である。また2年目以降は、特定腫瘍について病理学的・分子生物学的観点から掘り下げて研究を行い、順次結果を公表していく予定である。
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Research Products
(4 results)