2020 Fiscal Year Annual Research Report
Examining cancer biology from the aspect of breed specificity in dogs.
Project/Area Number |
18K14581
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坪井 誠也 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (20721963)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 疫学 / 腫瘍 / 獣医学 / 犬種特異性 / 比較腫瘍学 / イヌゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
イヌの腫瘍疾患は、特定の腫瘍が特定の犬種に好発する傾向があり、犬種の背景にある遺伝的素因がその病態発生に深く関与すると考えられる。本研究では、特定犬種に好発する腫瘍疾患について、犬種という軸から比較病態解析を行うことで、その背景に潜んでいる癌の発生メカニズムを探索する。 最終年度に当たる令和2年度では、これまで実施した研究の統括を行った。令和1年度では、2013年から2018年に東京大学附属動物医療センターに蓄積された9,803頭の犬の診断情報をビッグデータとして抽出したが、各犬種における好発疾患を解析した結果、600,628個(4,516疾患×133犬種)の組み合わせのうち、788個が他の組み合わせと比較して罹患率が有意に高く、うち192個が腫瘍性疾患であった。多くの腫瘍疾患で犬種特異性が認められ、その中には「ゴールデン・レトリバーと血管肉腫」「フラット・コーテッド・レトリバーの組織球性肉腫」など、広く知られている組み合わせが多く含まれていたが、「ジャック・ラッセル・テリアの胃腺癌」など、これまでの海外の報告では知られていない組み合わせも抽出され、今まで明確にされていなかった国内固有の新規の犬種特異性疾患である可能性が示唆されている。興味深い点として、ミニチュア・ダックスフンドにおいて悪性黒色腫、肛門嚢腺癌、軟骨肉腫、前立腺癌などの腫瘍疾患が多く抽出された一方で、トイ・プードルに好発する腫瘍疾患は少なかった点である。これらはいずれも国内の飼育頭数が多い犬種だが、腫瘍の発生率に大きな違いがあるため、犬種の遺伝的特性が腫瘍罹患率に深く関与している可能性が示唆された。
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