2019 Fiscal Year Research-status Report
一本鎖rDNAを介したコンデンシンの染色体結合機構の解明
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18K14627
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
矢野 晃一 国立遺伝学研究所, 遺伝形質研究系, 特任研究員 (30624712)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | コンデンシン / rDNA / 一本鎖DNA / 枯草菌 / 染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
染色体DNAの凝縮と分配には原核生物から真核生物まで広く保存されるコンデンシンが重要な役割を果たしている。しかしその作用機序については不明である。枯草菌のコンデンシンSmc-ScpAB複合体はrDNAに結合する。他方、大腸菌のコンデンシンのコアユニットであるMukBタンパク質は二本鎖DNAよりも一本鎖DNAにより効率的にトポロジカル結合する。このことから枯草菌コンデンシンは転写活性の高いrDNAで生じた一本鎖DNAに結合すると予想された。そこでrDNAに生じた一本鎖領域の同定を試み、実際に一本鎖DNAの検出に成功した。一方、コンデンシンが結合することができないrDNA内の欠失変異でも同様に一本鎖DNA領域を検出した。野生型rDNAと比較したところ、欠失変異ではプロモーター直下の約400bpにおいて一本鎖領域形成頻度が低下していた。このことから、枯草菌コンデンシンはrDNAのプロモーター直下に生じた一本鎖DNA領域を結合部位として利用していることが分かった。また、一連の解析において、転写されていない遺伝子でも一本鎖DNAが検出された。さらに、検出される一本鎖DNA部分は塩基配列によって異なることも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画であったrDNAにおける一本鎖DNA領域の同定は予定通り終了した。その一方で、コンデンシンのrDNAへの結合を試験管内で再構築する実験が予定よりも遅れている。その理由として、rDNAでの一本鎖領域同定のデータ解析が想定よりも難航したことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
枯草菌コンデンシンの一本鎖DNA結合の試験管内再構築を行う。これまでにコンデンシンタンパク質の精製は完了した。今後はrDNAを含む一本鎖DNAを準備し、コンデンシンの結合を調べる。また、rDNAと枯草菌RNAポリメラーゼを用いて転写した際、プロモーター下流に一本鎖DNAが生じること、およびコンデンシンの結合についても調べていく。
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Causes of Carryover |
費用の伴わないデータ解析が主だったため。最終年度では論文執筆、学会発表、次世代シーケンス試薬等に用いる。
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Research Products
(4 results)