2019 Fiscal Year Research-status Report
To Elucidate the Regulation Mechanism of Hematopoietic Stem Cell's Mobility
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18K14702
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
アブドゥル アジズ 東海大学, 医学部, 特定研究員 (50738789)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / 細胞運動能の制御 / PAI-1 / PKA-CREB-p300 |
Outline of Annual Research Achievements |
G-CSFによって動員された造血幹細胞のPKA-CREB-p300経路の活性化とPAI-1発現低下、さらにFurin活性化とMT1-MMP発現上昇が誘導されることを見だした。さらに、PKAやp300の阻害剤によりG-CSFの効果が打ち消されることを確認し、遊走促進因子によるPAI-1発現の低下と遊走能の亢進がPKA-CREB-p300経路依存的であることを証明した。TGF-bを含む培地に、G-CSFを低濃度から高濃度に振り分けて添加し、ニッチにおいてTGF-bによって運動能が抑制されている幹細胞に遊走因子が作用し運動能を付与するに至る状況を再現した。SmadとCREBに結合するp300の割合の変化とMT1-MMP発現や遊走能の相関をフローサイトメトリーや免疫沈降法により解析し、遊走促進因子がp300をSmadから奪ってCREBへ結合させることによって、TGF-bによる運動能の抑制を解除することを証明した。これらの結果からTGF-b-Smad依存的なPAI-1の転写活性にはp300タンパク質との結合が必要であるが、p300はG-CSFによって誘導されるPKA依存的なCREBによる転写活性においても要求される。すなわち、G-CSFによるPKAの活性化は、SmadとCREBで競合的にp300を奪い合うことになり、PKA優位の場合にはSmad依存的な転写活性は抑制される。このことがTGF-b-PAI-1による静止状態を解除するメカニズムであることを証明できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り実験が進み、以下の仮説を証明できた。 (1)G-CSFによって動員された造血幹細胞のPKA-CREB-p300経路の活性化とPAI-1発現低下、さらにFurin活性化とMT1-MMP発現上昇が誘導されることを確認した。PKAやp300の阻害剤によりG-CSFの効果が打ち消されることを確認し、遊走促進因子によるPAI-1発現の低下と遊走能の亢進がPKA-CREB-p300経路依存的であることを証明した。 (2)SmadとCREBに結合するp300の割合の変化とMT1-MMP発現や遊走能の相関をフローサイトメトリーにより解析し、遊走促進因子がp300をSmadから奪ってCREBへ結合させることによって、TGF-bによる運動能の抑制を解除することを実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
PAI-I を高発現あるいは欠損した白血病細胞を作製し、PAI-1 発現量の多寡によって白血病幹細胞の運動能と抗がん剤感受性が影響を受けること、すなわち、PAI-1 の発現量が抗がん剤感受性を決定する要因であることを確認する。PAI-1 阻害剤が白血病幹細胞のニッチからの離脱を促進し、抗がん剤高感受性化すること、その結果骨髄内から白血病幹細胞が完全に排除され再発が起きないことを実証する。
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Causes of Carryover |
消耗品の購入は計画より少なかったからである。次年度には新たに使用する解析キットの試薬、抗体やマウスを購入する。
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