2021 Fiscal Year Research-status Report
To Elucidate the Regulation Mechanism of Hematopoietic Stem Cell's Mobility
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18K14702
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
アブドゥル アジズ 東海大学, 医学部, 特定研究員 (50738789)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / マウスLSK細胞 / ヒトCD34+CD38-細胞 / 細胞運動能の制御 / PKA-CREB-P300 / がん幹細胞治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
G-CSFによって動員された造血幹細胞(マウス造血幹細胞LSK細胞およびヒト造血幹細胞CD34+CD38-細胞)のPKA-CREB-p300経路の活性化とPAI-1発現の低下、さらにFurin活性化とMT1-MMP発現上昇が誘導されることを見だした。さらに、PKAやp300の阻害剤によりG-CSFの効果が打ち消されることを確認し、遊走促進因子によるPAI-1発現の低下と遊走能の亢進がPKA-CREB-p300経路依存的であることを証明した。TGF-bを含む培地に、G-CSFを低濃度から高濃度に振り分けて添加し、ニッチにおいてTGF-bによって運動能が抑制されている幹細胞に遊走因子が作用し、運動能を付与するに至る状況を再現した。SmadとCREBに結合するp300の割合の変化とMT1-MMP発現や遊走能の相関をフローサイトメトリーやPLA免疫染色法により解析し、遊走促進因子がp300をSmadから奪ってCREBへ結合させることによって、TGF-bによる運動能の抑制を解除することを証明した。これらの結果からTGF-b-Smad依存的なPAI-1の転写活性にはp300タンパク質との結合が必要であるが、p300はG-CSFによって誘導されるPKA依存的なCREBによる転写活性においても要求される。すなわち、G-CSFによるPKAの活性化は、SmadとCREBで競合的にp300を奪い合うことになり、PKA優位の場合にはSmad依存的な転写活性は抑制される。このことがマウス造血幹細胞のTGF-b-PAI-1による静止状態を解除するメカニズムであることを証明した。さらに臍帯血由来のヒト造血幹細胞CD34+CD38-細胞を用いた実験において、マウス造血幹細胞LSK細胞と同様な検証結果が得られ、再現性の確認が取れた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
臍帯血由来のヒト造血幹細胞CD34+CD38-細胞を用いた実験において、マウス造血幹細胞LSK細胞と同様な検証結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
臍帯血由来ヒトの造血幹細胞CD34+CD38-細胞を用いた実験の結果をまとめ、追加論文を投稿する。
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Causes of Carryover |
当初の実験計画よりも使用する消耗品と試薬が少なく、結果を得ることができたためである。次年度には追加論文の投稿料に使用する。
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