2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K14718
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
向笠 勝貴 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (60706349)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 側板中胚葉 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニワトリ胚において、肢芽形成の起こらない胸腹部の側板中胚葉(LPM)にFgfを強制的に作用させると、異所的に肢芽の誘導が起こる。しかし、頸部では同様のことが起こらない。つまり、頸部LPMには肢芽形成能がないと考えられる。本研究はLPMの肢芽形成能を規定している分子基盤を明らかにすることを目的としている。当初の計画では、Hox転写因子群、Tbx5、レチノイン酸といった特定の因子について機能阻害あるいは亢進実験を実施する予定であったが、計画を変更し、頸部・前肢部・胸腹部それぞれのLPMにおける遺伝子発現を網羅的に比較する実験を開始した。まず、ニワトリ胚の前肢芽形成が始まる時期において、外胚葉を含む壁側中胚葉(somatopleure)を切り出し、20-30個体分程度集め、RNAを抽出した。RNA抽出操作が問題なく行われているかどうかを確認するために、頸部・前肢部・胸腹部で発現が異なっている既知の遺伝子(Hox、Tbx5、Fgf等)について、リアルタイムPCRを行ったところ、予想されたような領域毎に異なった発現が見られた。その後、受託解析によりRNA-seqを行った。統計解析のためには2回以上の繰り返し実験が必要となるが、先行して、今回得られたリードだけを解析したところ、概ねリアルタイムPCRの結果とは矛盾しない結果が得られていることが確認できた。今後、同様のRNA-seq解析を少なくとも1回以上行い、頸部・前肢部・胸腹部のLPMにおける全体的な遺伝子発現の違いを明確にしたいと考えている。さらに、今回は後肢LPMのRNAは用意していなかったが、今後の解析に加えることも計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画とは異なり、RNA-seqを開始することとしたが、これまでに行ったことのない手法であったため、一回目は試行の意味合いが強かった。結果としては、予想されたようにデータが得られたので、今後、新たなサンプルを含め繰り返し実施できる目処がたった。よって、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画を変更し、現在、側板中胚葉から抽出したRNAをもとにRNA-seq解析を進めているところである。今後はRNA-seqのサンプル数を増やし、得られたリードデータの統計解析などを行っていく計画である。さらに、可能であれば、ヒストンメチル化、アセチル化抗体を用いたChIP-seqやATAC-seqといった実験も行い、遺伝子発現とともに、クロマチンの状態を比較する実験も計画している。
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Causes of Carryover |
当該年度中に実施した受託解析が納品までに時間がかかるということがわかったため、受託解析にかかる費用を次年度使用額とした。
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