• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2018 Fiscal Year Research-status Report

土壌粒子環境を模倣した生細胞イメージング系による根毛の接触応答機構の解明

Research Project

Project/Area Number 18K14730
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

四方 明格  名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 招へい教員 (10813272)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2020-03-31
Keywords根毛 / 生細胞イメージング / 接触刺激 / キナーゼ
Outline of Annual Research Achievements

裸子植物や被子植物の栄養吸収器官である根の表面には、根毛と呼ばれる無数の長い突起が生え、土壌との接触面積を増やすことで、効率的な水分や養分の吸収に役立てているとされる。これまで根毛の発生や成長に関する研究が長く行われてきたが、それらの仕組みは、実験室環境すなわち固形培地上や液体培地中で成長させた根毛を解析することで示されてきた。しかしながら、根毛が本来働く環境は土壌中であり、実験室環境とはその性質が大きく異なる。特に、実験室環境では根毛は障害物のない空間中を成長する一方で、土壌中には根毛の伸長を阻む障害物として土壌粒子が多数存在している。このような環境で根毛がどのように成長しているのかは、その観察が困難であるため殆ど研究されていない。本研究では、土壌中における根毛の成長、特に障害物との接触に着目し、その際の成長機構を明らかにする事を目的とした。

本年度は、(1)土壌の粒子環境を顕微鏡観察可能な素材で模倣した観察系の確立、(2)その観察系を利用した、障害物との接触に応答した根毛の成長ダイナミクスの解析、(3)接触応答に関与する因子の探索、を進めた。1)では、主にマイクロ流体デバイスを用いて、土壌粒子環境を模倣した観察系の構築を試みた。マイクロ流体デバイスは、シリコーン樹脂PDMS内に微細な溝を設計・構築し、根や根毛細胞をそこで成長させることが可能である。このデバイスを用いることで、根毛細胞が土壌粒子を模倣した障害物と接触する様子を捉えることに成功した(2)。(3)では、根毛の接触応答に関与する可能性のある因子群を生化学的なアプローチにより同定を試み、複数の候補を得た。本研究を進めることで、自然環境下における根毛の姿を明らかにし、その細胞機能の理解が大きく進むと考えている。さらに、植物栄養学的な応用展開も期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

(1及び2)土壌中における根毛の成長様式を知るためには、顕微鏡観察可能な素材で土壌に似た環境を構築する必要がある。そこで、マイクロ流体デバイスとトランスパレントソイルの利用を試みた。マイクロ流体デバイスは、鋳型を元にシリコーン樹脂を任意の微細形状に加工できるという利点があり、近年生体の顕微鏡観察によく利用される。また、トランスパレントソイルは、水と近い屈折率をもちイオン吸着性のあるフッ素樹脂ナフィオンを粒子状に加工したものであり、光透過性が高いながら土壌に近い環境を作り出せる。本年度は、これらを用いて根毛の成長を顕微鏡観察可能であるか検討を行った。まず、シロイヌナズナ根毛の観察系をマイクロ流体デバイスで構築した。根毛の伸長経路に任意の形状をもつ障害物を設置することで、根毛が障害物と接触する状況を作り出した。これにより、根毛が障害物と接触した際にどのような挙動を示すのかを、再現性高く観察することに成功した。現在この系を用いて、細胞骨格系マーカーなどを含むマーカー系統の解析を行っている。トランスパレントソイルを用いた観察系では、より自然に近い環境で根の観察を行うことが可能である。しかしながら、観察する際にナフィオン微粒子間を同程度の屈折率をもつ液体で満たす必要がある。屈折率調整物質として生体適合性の高いものを幾つか検討したが、それらは屈折率の調節には不十分である、或いは根の生育を阻害する、という問題点があることが明らかになった。現在、植物にストレスを与えずに屈折率調整が可能な物質の探索を行っている。
(3)これまでに根毛の接触応答に関与すると考えられるキナーゼを同定している。このキナーゼの下流で働く因子を明らかにするため、本年度は生化学的アプローチによりその探索を行った。その結果、キナーゼによってリン酸化される候補因子を複数同定することができた。

Strategy for Future Research Activity

(1)に関しては、トランスパレントソイルを用いた観察系の構築を引き続き行う。
(2)に関しては、細胞骨格系、細胞壁、エキソサイトーシス、エンドサイトーシス、細胞外pH、細胞内カルシウム等のマーカー系統の解析を行うことで、障害物との接触において根毛細胞がどのような応答を示すのかを詳細に明らかにする。
(3)に関しては、キナーゼの標的候補因子におけるリン酸化部位を同定し、それらの部位に置換変異を導入した変異型蛋白質をシロイヌナズナ根毛に形質導入し、その生理的役割を明らかにする。

Causes of Carryover

人件費としての支出を年60万円計画していたが、研究の進行度合いから研究体制の見直しを行ったため、人件費として支出せず、物品費として支出を行った。そのため、次年度使用額が生じた。翌年度分と合わせて物品費或いは人件費として支出予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2018 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Int'l Joint Research] ミュンヘン工科大学(ドイツ)

    • Country Name
      GERMANY
    • Counterpart Institution
      ミュンヘン工科大学
  • [Presentation] 染色や薬剤処理に適した簡便なシロイヌナズナ根および根毛のライブイメージング系の構築2018

    • Author(s)
      四方 明格,佐藤 良勝,Claus Schwechheimer
    • Organizer
      日本植物学会第82回大会
  • [Presentation] 根毛の伸長方向制御機構の解析:障害物との接触における根毛の成長ダイナミクス2018

    • Author(s)
      四方明格、柳沢直樹、佐藤良勝、東山哲也、Claus Schwechheimer
    • Organizer
      日本植物学会第82回大会
    • Invited
  • [Remarks] https://researchmap.jp/hiromasa_shikata/

URL: 

Published: 2019-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi