2018 Fiscal Year Research-status Report
極限環境を生き抜く南極クマムシの生存戦略としての耐性機構の解明
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18K14800
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| Research Institution | National Institute of Polar Research |
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Principal Investigator |
辻本 惠 国立極地研究所, 研究教育系, 特任研究員 (90634650)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | クマムシ / クリプトビオシス / 南極 / 生存戦略 / 極限環境 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
驚異的な極限環境耐性能力で知られるクリプトビオシス動物が「厳しい環境の中でどのように環境耐性能力を活かしながら生存を可能にしているのか」は明らかとなっていない。本研究では、生物にとっての極限環境である南極の陸上に生息する南極クマムシを対象とし、凍結・乾燥に対する応答性を、損傷量やそれら損傷に対する修復能力において調べる。それらの取得データと、生息環境データとを併せて解析を行うことで、極限環境を生き抜く南極クマムシの生存戦略としての耐性機構を明らかにすることを目的としている。
本研究課題では、南極の固有種であり南極域でも最も過酷な陸上環境で広域に分布し優占している、南極クマムシAcutuncus antarcticusの飼育個体を用いて、１）凍結・乾燥した際の損傷の受け方とその回復状況、２）凍結・乾燥ストレスへの応答の特徴を分子レベルで調べる。そして、３）南極クマムシの生息環境である南極コケ群落内の環境ストレスデータを、１）と２）で得られた環境ストレスへの応答の分子機構データと併せることにより、南極クマムシの生存戦略としての耐性機構を明らかにする。
当該年度は、異なる凍結・乾燥期間における南極クマムシの分子レベルの損傷の受け方とその回復状況を把握することを目的に、まずはDNAの酸化損傷量や断片化量を計測するために必要な実験環境を整えた。また、南極クマムシにおける凍結・乾燥ストレスへの応答を分子レベルで明らかにするために実施するトランスクリプトーム解析の技術習得に努めた。同時に、南極クマムシの生息環境である南極コケ群落内の環境データの解析を行った。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度前半には、旅費を用いて国際学会に参加し、海外の研究者らから実践的な助言を得ることで、DNAの酸化損傷量や断片化量を計測するために必要な実験環境の整備を進めることができた。また同時に、PCを購入して今後必要となるトランスクリプトーム解析の技術習得も進めた。しかしながら、当該年度後半には業務多忙のため、予定していた凍結・乾燥した際の損傷の受け方とその回復状況や、凍結・乾燥ストレスへの応答の特徴を分子レベルで調べる実験を開始することができなかった。そのため、遅れていると判断した。
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| Strategy for Future Research Activity |
2019年度には凍結・乾燥した際の損傷の受け方とその回復状況や凍結・乾燥ストレスへの応答の特徴を分子レベルで調べる実験に取り組み、それらの結果と、当該年度に分析を進めたコケ群落内の環境データとを統合解析する。現在、整いつつある研究環境にて実験および分析を効率よく推進する体制を確立しつつあり、当該年度の実験計画の遅れを取り戻し、本来の計画通りに成果をあげることができると見込んでいる。
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| Causes of Carryover |
当該年度後半が業務多忙のために、当該年度内に計画していた実験の進行が大幅に遅れてしまった。それに伴い、実験に必要な試薬などの高額消耗品の購入の多くを次年度に回すこととした。
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