2021 Fiscal Year Research-status Report
極限環境を生き抜く南極クマムシの生存戦略としての耐性機構の解明
Project/Area Number |
18K14800
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
辻本 惠 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 講師 (90634650)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | クマムシ / 南極 / クリプトビオシス / 繁殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
驚異的な極限環境耐性能力で知られるクリプトビオシス動物が「厳しい環境の中でどのように環境耐性能力を活かしながら生存を可能にしているのか」は明らかとなっていない。本研究課題では、クリプトビオシス動物として知られるクマムシの中でも、生物にとっての極限環境である南極の陸上に生息する南極クマムシを対象とし、凍結・乾燥に対する応答性を、損傷量やそれら損傷に対する修復能力において調べる。それらの実験データと、生息環境データとを併せて解析を行うことで、極限環境を生き抜く南極クマムシの生存戦略としての耐性機構を明らかにすることを目的としている。 本研究課題では、南極の固有種であり南極域でも最も過酷な陸上環境で広域に分布している、南極クマムシAcutuncus antarcticusの飼育個体を用いて室内実験を実施している。当該年度も引き続き新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大の影響を受け、当初の計画通りに実験を進め、解析を終わらせることができなかった。一方、Acutuncus antarcticusを対象とした耐性実験は実施することができ、条件を変えることによって回復する生存数が異なる結果を得られた。実験条件により、クマムシ体内の損傷量や修復過程が異なる可能性が考えられたので、次年度にはそれらを考慮したうえでの実験計画を準備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度も引き続きCOVID-19感染拡大の影響を受けたことにより、当該年度に計画していた実験の実施に遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度もCOVID-19の影響を大きく受けたものの、当初予定していた室内実験は進められている。令和4年度前半には本課題で予定していた残りの実験を集中的に実施し、後半に解析を行うことで、今年度中に計画していた成果をあげることができると見込んでいる。
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Causes of Carryover |
前述の通り、COVID-19感染拡大の影響で当該年度中に計画していた実験全てを終わらせることができなかったため、研究計画に遅延が生じている。それに伴い、実験に必要な試薬などの消耗品の購入の多くを次年度に回すこととした。
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