2022 Fiscal Year Annual Research Report
Tolerance of the Antarctic tardigrade living through the extreme environment
Project/Area Number |
18K14800
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
辻本 惠 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 講師 (90634650)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | クマムシ / 南極 / クリプトビオシス |
Outline of Annual Research Achievements |
驚異的な極限環境耐性能力で知られるクリプトビオシス動物が「厳しい環境の中でどのように環境耐性能力を活かしながら生存を可能にしているのか」は明らかとなっていない。本研究課題では、クリプトビオシス動物として知られるクマムシの中でも、生物にとっての極限環境である南極の陸上に生息する南極クマムシを対象とし、凍結・乾燥に対する応答性を、損傷量やそれら損傷に対する修復能力において調べる。それらの実験データと、生息環境データとを併せて解析を行うことで、極限環境を生き抜く南極クマムシの生存戦略としての耐性機構を明らかにすることを目的としている。 本研究課題では、南極の固有種であり南極域でも最も過酷な陸上環境で広域に分布している、南極クマムシAcutuncus antarcticusの飼育個体を用いて室内実験を実施し、複数の条件下で凍結・乾燥ストレスに対する耐性とその回復状況を調べた。またストレスやダメージを受けた際の分子レベルでの応答を調べるために、トランスクリプトーム解析を実施し、本種の凍結や乾燥ストレスに関連している可能性のある発現変動遺伝子を抽出することができた。さらに、実際の南極の生息環境であるコケ群落内の環境データを解析した結果から、昭和基地沿岸における凍結・乾燥ストレスの頻度や強度を明らかにし、Acutuncus antarcticusの凍結・乾燥ストレスに対する応答との関連を解析して、南極クマムシの生存戦略としての耐性機構を明らかにした。
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