2018 Fiscal Year Research-status Report
薬物動態制御因子PXRおよびCARの発現に与えるRNA編集の影響
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18K14901
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中野 正隆 金沢大学, 薬学系, 助教 (00816225)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | RNA編集 / 薬物代謝 / 転写後制御 / 核内受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
A-to-I RNA編集はRNA上のアデノシンがadenosine deaminase acting on RNA (ADAR) 1またはADAR2によってイノシンに置換される転写後修飾である。以前の研究において、ヒト肝臓におけるADAR1のタンパク質発現量には200倍以上の大きな個人差が存在することが明らかになった。本研究では、RNA編集がヒト肝臓における薬物代謝関連遺伝子の発現と機能に与える影響を解明することを目的とし、核内受容体であるpregnane X receptor (PXR) や constitutive androstane receptor (CAR) に着目した研究を展開している。ヒト肝由来HepG2細胞において、ADAR1またはADAR2に対するsiRNA導入によるノックダウンを確認した上で、PXRとCARの発現量を評価したところADAR1ノックダウンによる両核内受容体の発現増加が認められた。したがってADAR1がPXRおよびCARの発現を負に制御することが示された。このとき下流遺伝子であるCYP2B6とCYP3A4の発現増加も認められたことから、ADAR1によるPXR、CAR発現制御は下流遺伝子の発現にも影響を及ぼすことが示された。さらにADAR1は、1)PXR mRNAは不安定化することでPXRの発現を負に制御すること、2) CAR mRNAのスプライシングに異常をもたらすことでCARの発現を負に制御することを明らかにした。以上より、RNA編集酵素ADAR1は主要薬物代謝酵素であるCYP分子種の発現を制御する転写因子であるPXR、CARの発現を制御することが示され、ヒトにおける薬物代謝制御におけるRNA編集の重要性について有用な知見を得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RNA編集酵素ADARが核内受容体PXRとCARの発現を負に制御することを明らかにした。ADAR1によるCAR発現制御に関する成果について論文を執筆し、国際学術雑誌に投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA編集酵素ADAR1はPXR mRNAの不安定化を介してPXRの発現を負に制御することが示された。ADAR1が、PXRの発現を制御するmicroRNAの発現や機能を変化させている可能性に着目し、ADAR1によるPXR発現制御メカニズムの解明を目指す。また、個人肝複数検体におけるADAR1とPXR発現量の間の関係を明らかにし、ヒト肝におけるPXR発現制御におけるADAR1の重要性を明らかにする。
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Research Products
(20 results)