2022 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of neuroprotective actions of astrocytes in the inflammatory tissues during cerebral infarction
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18K14915
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関谷 敬 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任助教 (40511374)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アストロサイト / 神経細胞 / 脳梗塞 / 大脳皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞は、局所血流量の著しい低下に始まり、神経細胞のみならず脳実質内に多く存在する各種のグリア細胞や、脳血流を担う血管を構成する平滑筋細胞・ペリサイトや血管内皮細胞などの多くの種類の細胞が関わる非常に複雑な病態である。本研究では、脳機能を主としてになう神経細胞が、脳梗塞の病態において、周囲の様々な細胞種と、どのような相互作用をすることで、どのような病態経過を示すのかに注目することで、脳梗塞の病態において新たな知見を得ることを目的としている。このため、神経細胞とグリア細胞の1つであるアストロサイトに注目し、両者の間のさまざまな細胞間相互作用を明らかにできるイメージング技法の開発から着手した。神経細胞およびアストロサイトの活動を捉えるカルシウムイメージングに加え、アストロサイトと神経細胞の間の細胞外シグナル伝達物質であるATPのイメージングを実現した。これらの技法を、脳梗塞モデルマウスに応用し、脳梗塞時に大脳皮質で観察されるCortical Spreading Depression時のATP放出を可視化した。このようなATPなどのグリオトランスミッターなどが神経細胞へ与える影響を、より詳細に評価するため、神経細胞が処理する情報が読み解かれ始めている大脳皮質視覚野に注目した。神経細胞の活動イメージングを用いて、視野内の位置情報に対応するレチノトピーや、高次視覚野の分布を捉えることで、神経細胞が、視覚情報を処理している様子を可視化することに成功した。これにより、神経細胞が、周囲のグリア細胞などからどのような作用をうけ、神経活動が保持している視覚情報が、どのような変化をするか等を調べることが可能となる。これらの新たに開発した技法や新たな知見は、脳梗塞の病態解明に役立つことが期待される。
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